界と界

□夢魔が降り立つその夜に
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「いつまでも悪い夢に囚われないでくれよ……。まぁ、囚われるんなら、俺にしとけ」
「何を馬鹿なっ……」

反論する前に耳を噛まれて、息を吹き込まれた。ぞわりと悪感にも似た感覚が背筋を駆け抜ける。

「悪夢を見ない方法を教えてやるよ」

組み敷かれ、天井を仰ぐとヨザックの黒い影が視界に入る。しかし視覚以上に、伝わる空気が獲物を定めた獣のように絡み付く。
落ちてくる唇は、先ほど静めた筈の熱をあっさり呼び起こし、両足を割って入るヨザックは熱が上がったことをすぐに悟る。

「感じ易すぎないか?」
「ん…な…こと…な……い…」
「もうこんなになってるし」
「っん…く…ぅ……」

触れられた所から広がる甘やか熱に洩れ掛けた声を咄嗟に噛み殺そうとしたが、世界を壊すような荒々しい風にも消されることなく室内に落ちた。それに笑うヨザックの気配に、羞恥で頬を赤くした。

「……嘘吐きには、お仕置きが必要だな」
「っ何を……んぅ…く…」

首筋にねっとりと舌が絡み、それを止めようとヨザックの肩を押しやろうと試みても、それが叶うことはない。首筋を伝い落ちていく舌は鎖骨の窪みを舌で舐り、そして男でも感じると教えられた果実に辿りつく。焦らすようにしこりには触れず、周りを舐め上げては、吸い上げ、歯を立ててそこに所有の痕を残していく。

「っつ……んぅ……ひ…ぁ」
「もう大分固くなってるぞ」

声を殺し、微弱な痺れをやり過ごそうとするが、焦燥感は引き返せない高みにまで近付きつつある。理性を蝕み続ける歯がゆい快感と焦らすヨザックを恨みがましく思いながら、逞しい腕に爪を立ててやった。

「お痛はいけないぜ。コンラート」

お返しとばかりに、固くなったしこりを指で潰し、唇で食まれて背筋を仰け反らした。

「ひゃあ……あん…ぅ…っくぅ……」

女のような甘く高い艶めいた声を手の甲を噛んでどうにか留めても、舌で転がしたり、吸い上げられる感覚に我慢が利かなくなり始める。
意思とは無関係に滑る足がたまらなくもどかしい。




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