界と界
□夢魔が降り立つその夜に
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「噛むのはやめろ」
剥がされた手の代わりにヨザックの指が侵入してきて、声を噛み殺せなくなる。武骨な癖に繊細な動きをする指に口腔を犯され、止まることを知らぬ愛撫に禁じた声が上がり始める。
「っん…あぁぁ…ひゃ…あ…ヨ…ザ…ぁぁ…」
「素直に声出してろ。俺以外、聞いちゃいないんだから」
耳元で囁いた後、頬を滑る唾液を掬い、だらしなく先走りが流れるそこに口づける。
「っあぁぁぁ……」
電撃のように走り抜ける快感に、耐えきれずに吐き出したものはすぐに嚥下され、しかし離れることなく舌が動き出す。
「ひっ…やめ……ヨザ…だめっ…あぁぁ」
いつのまにか口内から消えた指は、しっかり逃げを打つ腰に巻き付き、逃げることを許諾しない。続け様に与えられる深い快感、響き渡る卑猥な水音、そして何より女のような自分の声に煽られて、熱は一層熱く絡み着く。
「ん…ま…た……はな…ヨ…ザぁ」
「好きなだけどうぞ」
「っあぁぁぁ――」
銜えられたまま話されて、その衝撃に再び精を吐き出す。酸欠状態のように目の前で白い火花が散り、苦しいくらいの絶頂に荒く息を吐いた。
「はっ…あ…ふぅ」
宥めるような啄む口づけが身体中に降り注がれる中、片手が奥の蕾をゆったりと撫でられた。
菊の花びらを伸ばすように指が動くのを、コンラートは眉間に皺を寄せて堪える。
「すぐに良くさせるから……んな顔をすんなよ」
「見え…て…ない……だろ…」
「見なくてもわかる。眉間に皺寄せて、うちの閣下にそっくり」
眉間に口づけ、そして目尻、こめかみに唇が降りていく。そんな中でも指は止まることなく、蕾を開かせていく。
「…それ……嫌…だ…」
足を更に広げられて、蕾にヨザックの息遣いを感じると、心の底から嫌そうにコンラートは言った。
「こうしないと、傷付くだろ」
舌のぬるりとした感覚と同時に指の蠢きを感じて、シーツを手繰る。
「ん…あぁ…つぅ…あぁぁ……」
「さっきしたから、わりと大丈夫そうだな」
舌が抜かれても、中で動く指は熟知したポイントを探り当てては、ひっかくように突き上げ、唇はまた勃ち上がるものに絡む。
「ヨ……まっ……ダメ…だっ……あぁぁ」
意識を飛ばしそうになっても、再び訪れる快感に思考力は奪われ、与えられるままに声を上げては、朦朧とする意識を無理矢理繋ぎ止められる。
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