界と界

□片恋
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人は生きていても、死んでいるのと同じようになるのだと知った。心が死んだら、人は生きていないのだ。いや、生きていけないんだ。
今、目の前にいる人は生きていない。全てに絶望して、死を渇望している。


『ウェラー卿コンラート』


俺の恩人であり、幼馴染み、そして率いた隊の隊長。

そして…………俺の片想いの相手。


隊長はルッテンベルクの獅子と呼ばれ、戦地では恐れられていた。戦地を駆ける姿、力は正に、獅子と呼ぶにふさわしかった。
鋭利な刃物のように鋭く、そしてひどく脆かった。
隊長が崩れたのは彼女の戦死が原因だった。

『スザナ=ジュリア』

隊長の大切な人。恋人だとか、友人だとか、そんな言葉では例え足りない、例えられない人。
そう隊長にとって特別な存在。

それが、彼女だった。
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