界と界

□貴方の隣に居させて下さい
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国外任務を終え、ようやく帰還した。
久しぶりの眞魔国は、とっくりと闇が世界を飲み込んでいる時間だった。
それでも、自分の上司は、まだ眠りに就いてはいなかった。


陛下がさぼる分の仕事まで、やっているのだからさぞ大変だろう。


ノックを二回。
「入れ」
抑揚に乏しい返事の後に、ドアを開ければ、やはり眉間に皺を寄せて書類を睨むグウェンダルがいた。
「報告を」
書類から視線を外すことなく、ヨザックに先を急かした。

あまり機嫌が良くないのかと思ったが、単に疲れているだけのようである。
たまにこめかみの辺りを押さえている。

なんだか器用貧乏なグウェンダルの苦労が知れて、不憫である。


「白鳩便で知らせた情報とあまり変わりはありません……………」


時代を変えようと奮闘している幼き王のため、きな臭い動きは常に注意を向けなければならない。だが、今回の偵察には、きな臭いものは窺えなかった。
それでも火のない所に煙は立たぬ。完全に白と見るには、まだ不穏な時世である。

目を利かせて置くのに損はない。
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