影に呑まれた中学生

□1―好奇心
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その日は蝉も鳴くのを諦めている位の猛暑日だった。

「あっつー!暑い暑いあっつーい!」
「うるさいんだよ祭!余計暑くなんだろうがよ!」

祭と呼ばれる少女―日野祭は廊下の水道でタオルを水に濡らしながら叫んだ。
周りの生徒は耳を塞ぎながら祭の横を通り過ぎる。

日野祭の声は異常に大きい。周りからは叫んでいると思われているが彼女にとってはコレが普通だった。

「コレが普通の声なの!別にいいでしょ!」
幸八のくせに生意気ね、と祭は不貞腐れて言った。
「俺はお前の声じゃなくて、言葉に言ったんだよ!馬鹿か!」
「どっちにしろ生意気!」

2人は目を合わせ、間に青い火花が散るのではないかという位に睨み合った。

その時、授業開始のチャイムが廊下に響いた

「あっ。」
「ちっ、さっさと行くぞ。」
幸八は遅れるぞ馬鹿野郎と言わんばかりの顔で祭をみた。
「わかってるってば。」
そんな表情には目もくれず、祭は3年4組に向かった
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