10/31の日記
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ハロウィンなので
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ケルトでもハロウィンはやってくる。だが、このイベントを楽しむはケルトの住人たちよりも、この地に住まう神々のほうだった。他の地域の神との交流が多い分、異国の文化にあまり触れる機会が少ないケルトの者達よりも神々のほうがより慣れ親しんでいたからだ。
「これで…よし」
鏡の前でくるくると回って、エーディンは自分の格好にようやく満足がいった。今日はハロウィンパーティーがあるのだ。お洒落にもいっそう気合いが入る。
(…まぁ、ミディールはこないでしょうね)
エーディンはあの内気な知り合いのことを思い、小さく息をついた。
外からドアが控えめにノックされる。
「…エーディン、そろそろ時間…」
ドア越しに聞こえたのはモリガンの声だった。彼女もパーティーに参加するのだ。まぁ、パーティーの主催者のなかにクーフーリンがいる時点で、彼女の出席は決定事項だったろう。
「えぇ、今行くわ」
エーディンはいつものバッグを抱えると、部屋を後にし、パーティー会場へと向かった。
◆◇◆◇
パーティーはすでに始まっており、にぎやかな雰囲気となっていた。すでに暗くなったケルトの空に、大きく焚かれた炎から飛び出る火の粉が消えていく。会場となった野原には、あちこちにハロウィンの装飾がなされていて、可愛らしいおばけたちがパーティーに顔をだしている。
(やっぱり、いないじゃない)
会場をさっと見渡して、エーディンはミディールがパーティーに来ていないことを察した。予想通りではあったが、別に当たっても嬉しいわけではない。
「あら、エーディンじゃない。もう始まっちゃてるわよ」
エーディン達に気がついたのだろう。飲み物を片手に、オイフェが話しかけてきた。いつもの服装ではなく、黒づくめの衣装にとんがり帽子といういかにも魔女といった仮装をしていた。
「やっぱり、男のひとって子供っぽい。仮装であれだけ盛り上がれるのってすごいと思うわ」
オイフェが指で示した方向では、それぞれ仮装してきた男たちがお互いの格好を見比べながら騒ぎあっている。皆かなりハイテンションだ。
「まぁ、せっかくのハロウィンだし。精々楽しみましょう」
それだけ言うと、オイフェはパーティーに戻っていった。おそらく、皿に山ほど料理を盛っているマナナン・マクリルをたしなめにいったのだろう。
「エーディン…いこう…」
モリガンがエーディンの袖を引く。しかし、エーディンは静かに首を横にふった。
「ごめん、私ちょっと忘れ物してきたみたい。すぐに戻るから、さきに行ってて?」
エーディンの言葉に、モリガンはコクリと頷くと、パーティーの輪のなかにはいっていった。
(…しょうがないわね)
エーディンはくるりと踵を返すと、闇のなかに姿を消した。
◇◆◇◆◇◆
唐突に書きたくなったハロウィンねた。
前書きなしで申し訳ない…
続きはすぐに。
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