おとぎばなし

□素直になって
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『はぁ…』
「どうしたの?最近元気ないよね」

今日もまた、ため息がひとつ。
ギルドにあるカウンターに項垂れていたら、ルーシィが声を掛けてくれた。

『だって、ナツが居ないんだもん』
「あぁー…。そうゆう」

そうなのだ。あの男、3日前から帰って来て居ない。
せっかくこっちが早く仕事を切り上げて帰って来たと言うのに、帰って来たときにはもう既に姿は無くて。
ミラに聞いたら、

「ナツ?なんかを探しに行くってついさっき出て行ったばっかよ」

なんて返事が。
なんかってきっとイグニールのことだろう。
彼の事だからきっと。


『もう、ナツのバカ…』

さっきからずっとこの調子の私を見兼ねたのか、ルーシィがとある提案を出した。

「そんなにあれなら、ウォーレンの念話で話さして貰えば?」

『念話…?何話していいかわかんないし…』

「え?ごんべさんってば怒ってんじゃないの?」

『ん〜…怒ってるってゆうか…』


何と言うか、残念なのだ。
せっかく帰ってきて、せっかく久々に会えると思っていたのに。

すると、突然何かを分かったかのようにルーシィがニヤニヤし出す。
何?と、不機嫌ぽく尋ねてみれば、ごんべさんってば寂しいんでしょ。愛しの“彼”に会えなくて。
何て帰って来て。
嫌でも頬が朱く染まるのが分かる。

『べっ別にそうゆう訳じゃ…!!』
「そんな顔で言われても説得力無いわよ、ごんべさんちゃん?」

…彼女のこうゆう所が苦手だ。

「もう、いい加減素直にならないとナツが可哀想よ」
『うん…』

分かってはいるんだけど、中々素直になれない。
ナツと私は俗に言うカップルと言うもので。もちろんデートにだって行くし、手もつなぐし、キスだってする。
でも、どれも全部ナツから。
下手したら私から何かを言った事が無いかもしれない。
だから、今度こそって思っていたのに。
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