〜story〜

□〜幻〜(シリアス)
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  ここは……

うん?今、銃声が聞こえたな?
しかも、一発じゃない…

  あぁ、そうか…私はまた……


〜幻〜


「何をやってる!早く殺れ!!」

その声にロイはハッと我にかえり、自分の周りを見渡した。
弾薬の匂いに混じって、人の血の匂い…ロイの前を見れば、数十メートル先に赤い目に褐色の肌をしたイシュウ゛ァールの民達が銃を持って、軍と発砲しあっていた。
軍が撃った弾丸がイシュウ゛ァールの民の頭に‥小さい穴からは赤い噴水のように飛び散り、そのまま倒れた。土はみるみるうちに、赤く染まっていった……

「よし、今だ!!」

しばらくすると、またロイの耳に入ってきた。
それを合図に軍は銃を持ったまま、前に走り出す。

(…嫌だ…行きたくない…‥)

ロイの意識とは逆に、体は前に走る。
すると、ロイの隣りで一緒に走っていた軍人が脳を撒き散らし倒れた。
ロイは咄嗟の判断で、物影に隠れた。
と、それと同時にまた、銃声の音が鳴り響く。

ロイは深く深呼吸し、周りの状況を把握しようととして体を動かした。

(うん?何だ…?)

すると、ロイの足に 何かが当たった。

(ーっ!)

ロイは言葉を失った。

そこには、体に無数の穴、赤い目は見開き、手には銃を掴んだままの血まみれの幼い少年が倒れていた……

(クッ………)

ロイは恐る恐る、幼い少年の手首に触れた。

…脈は‥ない…

(すまない……)

ロイはソッと手を伸し、幼い少年の目を閉ざした。

(…早く‥終わらせなければ…‥)

ロイは錬金術が描かれた、白い手袋を手に通した。
唇をギュッと噛締め、銃声の中に飛び込もうとした時、ロイの手首が掴まれた。

「なっ!?」

ここには自分しか居ないと思っていたロイは思わず声を出した。

「お兄ちゃん…その手で‥後‥何人殺すの?……」

幼い少年がロイの手首を掴んだまま、血が付いた唇で笑った。

「なっ…‥」

ロイは目を丸くした。

「お兄ちゃんの‥人殺し…‥」

幼い少年は、銃口をロイに向けて笑ったままだった。

「ーっ!!」

ロイは咄嗟に指を鳴した…‥
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