〜story〜
□〜忘れないよ〜(シリアス)
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Don't
forget
8.Nov.1923
〜忘れないよ〜
その日、兄さんがお酒を飲んで酔っ払って帰って来た。
ボクは珍しいなと思いつつ、兄さんが脱ぎ散らした服を片付けた。
服の持ち主は気持ちよさそうにソファーでぐっすり寝ている。
コトンッ…
「うん?」
ボクは兄さんのポケットから、何か落ちたのに気付いた。
それは…兄さんがこちらの世界で使っていた銀時計だった。
「…………」
ボクは手にとり、銀時計を見つめた。
そう言えば‥兄さんがこの時計を開いている所を見た事がない。
壊れているのかな?と、思いながらボクはフタを開けた…。
『Don't
forget
8.Nov.1923』
動いていないその時計に書かれていた…。
「兄さん…」
ボクはすぐにその意味が理解出来た…
兄さんが愛した‥いや、今も愛している…愛しい人の命日……
『忘れないよ
1923年11月8日』
ボクは銀時計を持ったままカレンダーを見た…
今日は‥11月8日…
ボクは…フタを閉めて…静かに兄さんの手に銀時計を返した……