劣等感

□不幸の上に咲いた七色の虹
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舞は、『仁君の事は人間としても好きだし、別れても友達で居てくれる?あ、嫌なら良いよ。無理はしなくても良いけど、もし良いって言ってくれるなら…お願いね。』と言い、私は、ああ、解ったよ、と良い、然し、舞は、どっちなの?友達で居て良いの?それとも本当のお別れ?と聞き返し、多量の涙を流し鼻詰まりを起こした私は、ま行を言うのがどうしても出来なかった為、友達で、とは言えず、フレンズで、と応え、舞は最後に有難うと言いました。私はそそくさと電話を切り、切った後は只、ひたすら泣きました。声も上げました。正に大泣きの状態で、胸が閑散として、今までの想い出は全て涙で流れ落ち、私は孤独に為りました。
付き合った期間は、理佳と大して変わらないのに、私はどうやら心底から舞を愛していた様で、友達としてなら何時でも逢えるのに、何故、これ程までに悲しいのか、何故、これ程までに恋しいのか、訳も解らず只、泣いて、泣いて泣いて泣き疲れて私はそのまま眠って仕舞いました。

翌日は酷く頭痛がして、母が朝食よ、と私を呼び、食卓の間に行き、箸を取りました。
母の料理は大好きでした。美味ですし、何よりも人生の中で一番、この絶対的な人間の作る料理を食べて参りましたのでとても愛着さえ感じて居りました。然し、この日に限っては美味しく有りませんでした。理由は、矢張り舞でした。ご飯を口に運びながら舞を想うと、涙が零れ落ちて、私は又、慌てて、短い前髪で目を隠し下を向いて、母に感付かれる事の無い様に必死で何時もと変わらない自分を演じました。そして、家を出て駅まで歩き、改札を通って電車に乗りました。これは、何時もと変わらない行動です。然し、全てが悲しみに満ちて居り、電車の中から流れる景色を眺め、矢張り何度考えても舞との別離は現実で、電車の窓際でこっそり泣きました。

学校の最寄り駅に着くと、鈴達が待っていましたので、私は平然を装いました。私がお早うと言ったその返答で鈴が、泣いた?と聞いて来ましたが、適当にごまかし、然し、実は既に情報が回って居り、舞と私が別れた事を知っていた様でした。それでも、無理に笑い、無理に歩き、学校に着いて、今までの様に楽しくは無い、詰まらない授業が始まりました。私は始終、上の空でした。
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