劣等感

□恋人
1ページ/1ページ

 君の事を書く事に致しました。
 既知でしょうけれども、僕は君の事を書く事がとても空恐ろしく、例えば金庫に君を仕舞う様に、護衛ないし監禁をしていたつもりでした。
 しかし、君にしか伝わらぬ事を書きます。「これはもう、戦争です。僕は、徴兵せられ戦いに行くのです。」

 死ぬと言って、ごめんなさい。
 お酒を飲んでしまって、ごめんなさい。
 他の人を抱いてしまって、ごめんなさい。
 冷たくしてしまって、ごめんなさい。

 しかし我が恋人よ。心配する事勿れ。
 明日の事は判らぬ。一寸先さえも、判りませぬ。けれども、君、心配する事勿れ。

 「I LOVE YOU」
 こう書けば、君はきっと喜ぶでしょう。しかし、僕は書きません。何故なら、僕達が培って来た日々は、この言葉をさえ超越しているからです。

 もう一度書く。
 心配する事勿れ。



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ