劣等感

□親友
1ページ/1ページ

 僕は君を好いている。それはやはり、君が僕と似た感性を持っているからであり、且つまた君を尊敬するからである。
 僕は今、かつて居た暖かい場所から転落し、斯様な、冷たい黒色の渦中に息をする。だが、大切なあの人を忘れた事が無いばかりか、君をさえ、僕は忘れた事が無い。
 僕はその大切な人を傷付けて、苦しめている。こうしている間にも、不安にさせ、恐怖させている。しかし、僕はこの問題を、どうにかして片付けようと必死に、いや、或いは躍起になって、歩いている。そうして、益々僕自身が、底の無い沼に沈んで行く様な気がしているのである。
 けれども、僕はそれを恥じてはいない。歩き出すという事は、逆境に立ち向かう事である。また、あちら側の人間達の嘲笑に立ち向かう事である。僕はまだ負けぬ。斯様な所で、逡巡している訳には行かぬのである。
 余計な事を書いた。
 君、僕に気を使っている様であるが、然様な心配は不要である。君は僕の親友だ。何でも、相談なさい。君の力になられずとも、君を少し、ほんの少し、毛の先程でも、笑わせる事は出来る。そういう風に、僕を利用なさい。

 酔いどれは、これ以上の事は書く事が出来ぬ。
 僕の言いたい所は、つまり、君、遠慮する事勿れ、です。



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ