魔法導
□T
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上機嫌のシンドバッドは頬を緩ませながら、残りの執務を黙々とこなしている。
それは食客のアラジンやアリババでさえ数歩後ずさるほど。
仕事が速いのはいいことだ。
だが、あんな緩んだ顔で仕事をされては王の威厳と言うものが...
(―・・・今いえたことではないか)
今までの前科が積み重なった、と言ってもおかしくない。
びっくりするくらいのスピードで机の上の書類がみるみるうちに減ってゆく。
(―私のシンは、もうどこにも居ない)
王の部屋の前で一度、ジャーファルは大きく息を吐いた。
揺れた髪に影を落としていたクーフィーヤは既に無い、彼の手元だ。
ジャーファルは小さな決意をして、王の部屋へと足を踏み入れた。