魔法導

□冷える手。
1ページ/3ページ




良く晴れた日。
風は少し冷たいが、差し込む光は暖かい。


ジャーファルはいつものように袖に両腕を通し、歩みを進める。


(今日は少し、冷えがひどいな・・・)


袖の中で、冷たくなった指を暖めるようにそっと指を組む。


彼の指の冷たさは生まれつきといっても良いほどだ。この季節になると、一文字書くのも困難になるほど指は悴む。


ただそこは政務官のジャーファルだ。
仕事は疎かにしない、弛まない。


愛すべき我がシンドリアのため、そして王シンドバッドのため。


ジャーファルは悴む指をかばい、仕事を続けていた。


.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ