魔法導

□T
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―シンドバッド王が結婚する。


その話は、今までの王ならありえない話だった。
絶対に、誰とも結婚しない。


いくら現地妻ができようと、いくら女遊びをしようと、決して妻を娶らなかったシンドバッド。


その王がついに結婚する。
ジャーファをはじめとした八人将、そして食客を含む王宮の者は皆一様に口を開けた。


「・・・シン、本気で?」
「あぁ!!俺はあいつに惚れ込んだ、今度こそ本当に、間違いは無いんだ」
「王サマ...」


あのシャルルカンやスパルトスさえ、困惑の表情だ。
ヤムライハやピスティに至っては顔を青くして主の姿を見つめている。


「シンドバッド王...本気ですか?今まで絶対に妻を娶る気は無いと...」
「しつこいぞヤムライハ、俺は本気だとさっきから何度も言っているだろう?」


御馴染みの黒い帽子がぽとりと床に落ちるくらい、ヤムライハは衝撃を受けた。


ピスティはついに涙目になり、スパルトスとマスルール、ドラコーンとヒナホホはそろって眉を寄せ、ジャーファルはぺたりと膝を床に着け、シャルルカンはこれ以上無いくらい目を見開いた。


(―・・・嘘だろ)


まさか、ここまでとは。
それほどに、王の結婚宣言は相当なものだったのだ。
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