魔法導
□V
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――ごとん。
「っぁ...」
音に呼び戻され、ジャーファルははっと顔を上げた。
どうやら手元にあった書類を落としたらしい、腕が異様に軽い。
ジャーファルはため息を吐くと書類を拾い上げ、足早に政務室へ向かった。
今の今まで王――シンドバッドの部屋で報告をしていたのだが、あんなことがあった後では
気が気ではない。
膝は笑うし、声は震えた。
部屋に入る前には歯がガチガチと鳴るし、汗がこれ以上ないくらい一気に噴き出してきた。
八人将であるが故、シンドバッドには近づくとこは必要なことだ。
それが、どうしてこんなことに。
(自業自得だ)
こんな気持ちになるくらいなら、あんなことをしなければ良かった。
自分をシンドバッドを苦しめるだけだと、ジャーファルは浮かんだ涙を拭いつつ政務室へと足を進めた。