魔法導
□W
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意識が浮上し始めたころ、夢を見た。
幼いころの自分を、夢見た。
『ジャーファル!!』
『シンっ!!』
シンドバッドが向こうで呼ぶ。
幼いジャーファルはそれに応えるように走り出す。
シンドバッドが大きく腕を広げた。
ジャーファルはその腕の中に飛び込もうとして――すり抜けた。
自分の腕の中にシンドバッドのぬくもりはない。
ただ冷たい金属の感触と、それから空気が自分の手を撫でるだけ。
『シン・・・?シン・・・ッ!?』
いない。シンがどこにもいない。
どこ。どこなの、シン。応えて、シン。
(あぁ・・・)
ジャーファルが泣き出した。
苦しさに、寂しさに、悲しさに。
その押しつぶされそうな感覚を、ジャーファルはもう知っている。
(私はまた――失うのか・・・)
そう思ったとき、失ったはずの声がジャーファルの鼓膜に届いた。