魔法導

□冷たい手でもいいよ
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※シンジャ学パロ
シン...3年 ジャーファル...2年


寒々とした、朝。
ジャーファルは冷えた指先を擦り合わせ、せめてもの暖を取ろうと必死だった。


「...いつもより、寒いな」


きん、と張り詰めた冷たい空気がジャーファルの頬をかすめる。


学校までそれほどの距離はないが、ここまで寒いと流石に辛くなる。


「・・・おい、ジャーファル!!」
「っと、シン!!おはよう御座います!!」


背後から聞こえた声にとっさに振り返ると、マフラーを靡かせた三年生が大きく手を振ってこちらに近づいてくる。


ひとつ上級生のシンドバッドだ。
家が近く、ジャーファルが彼の家に夕飯を作りに行くくらいには仲良くしてもらっている。


「昨日の夕飯ありがとな、美味かったぞ!!」
「いえ、あんなものしか作れませんから...」


家が近ければ自然と通学路は同じになる、こうして毎朝の会話もいつものことだ。


「ん、ジャーファル、指先が真っ赤だぞ。寒いのか?」
「えぇ、少し。家にカイロを忘れてきてしまいましてね...」


はーっと指先に息を吹きかけ、暖めようとするが、それも気休め程度。


寒がりのジャーファルを良く知るシンドバッドは、ふとこんな提案をした。


「あぁジャーファル!!なら俺を手を繋ぐと良い!!」
「・・・は?」
「俺の手は人より暖かいからな!!ちょうど良いだろう、ほら!!」
「うわっ!!」


無理やり手を絡め取られ、ぐっと握り締められる。


「しっ、シン!!冷たいでしょう、離してくださいよ!!」
「俺が良いって言ってるだろ、...冷たい手でもいいよ」


ふっと頭ひとつ分小さなジャーファルに笑いかける。


びっくりするような綺麗な笑顔に、一瞬どきりとした。


「し、ん...?」
「...さ!!行こうか!!」


暖かな手は、シンドバッドの笑顔と、それからジャーファルの密かな想いを握り締めていた。



fin.
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