魔法導
□不安を消したかったからで、
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―あの戦争から数ヶ月が経った。
傷ついた国、資源、そして国民。
シンドバッド自身にそれほど外傷は無かったにしろ、今はまるで病人のようにやつれている。
ここ数週間にも及ぶ戦争の後始末、そして王としての激務に相当体力を消耗しているようだ。
「シン、あまり無理をしては...」
「あぁ、解ってる...だが、あと少しだけ...」
「そんなこと、さっきも言ってたじゃないですか」
仕方ないだろうとシンドバッドは顔をゆがめる。
戦が終わって直ぐにシンドバッドは自分の不義だと民衆に謝罪した。
常に傍に使えているジャーファルにも、その落胆がひしひしと伝わってくる。
「一刻も早く国の復興をしないといけないんだ」
げっそりとやせ細った姿には、少し前まで快活に笑っていた面影は欠片も無い。
ジャーファルは王の傍をそっと離れると、政務室へと足を進めた。