短編部屋

□汝は人狼なりや?
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-○○日目 黒子テツヤさんが無残な死体で発見されました。-
村の人々は慌ただしく走り回っていた。
「これで五人目か。」
「狼はまだ分からないのか。」
群衆の中の喋り声が聞こえる。その中に嗚咽が混じる。金髪の顔立ちの整った男がいた。
「何で黒子っちが...」
それだけ言うと彼は目を伏せた。悲しみにくれたような表情をしていた。隣にいた女の人がそれを慰める。
「なたっち…」
彼は涙ぐんでいた。
「涼太泣いていいんだよ。」
彼女は受け入れるように彼に抱きつく。内心笑いが止まらない。村人も愚かすぎる。こんな演技も見抜けないなんて。泣き止んだ俺は息をつく。
「俺、見たんです。夜中黒子っちの家に入って行った青峰っちを。」
間違ってはない。彼はなたに婚約指輪を送るために宝石職人の黒子のところにいたのだから。しかも、今は彼女がいるため反論できない。
決定だなと笑い、その場を去る。
-○○日目、青峰大輝さんが処刑されました。-
案の定彼女は俺の元にきて泣いた。抱きしめながら耳元で大丈夫ッスよと囁く。やっと捕まえた。もう離さない。
歪んだ笑みを浮かべた。


end
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