03/27の日記

18:18
ラバソ改変ネタss
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愛田命(あいだみこと)は、年端も未だ二十歳に満たない青年であった。

彼の幼い頃から、両親は仕事の忙しさで少年を構う暇もなく、見兼ねた彼の保育士の言葉と、都会の慌ただしさに苛まれる事を憂いた彼の母方の祖父母によって、幼少期は都会から遠く離れた田舎の祖父母の家に預けられて暮らしていた。

初めは穏やかな暮らしを、彼は満喫していたように思う。

稲の穂先が黄金に色付けば田を刈る祖父母を手伝い、祖父と山合いに分け入れば動物の足跡や木ノ実の毒の有り無しを教わる日々だった。

都会から来たミコトを、村の子供達は特に気にしたりはせず、寧ろ各々の家の仕事の手伝いで忙しいのか、休みの日であっても冒険や探検なんてことは組の一同は否定的で、ミコトはそれに少し落胆したりもした。

もっぱらミコトの遊び相手は自然の生き物だ。

一人遊びを究め、釣りや虫取に駆け回る姿を祖母は小さい頃に童であった父によく似ていると笑ったし、次第に彼も一人に満足し始めていたらしい。

年に二度の長い休みになれば、一週間ばかりではあるが、両親も里帰りにと祖父母の田舎に帰って来て、ミコトは母に嫌がられながらも、父とイナゴの食べ方や蝉に紐を括る方法なんかを祖父に教えて貰ったし、それを学級委員の女子の椅子へ吊るした挙げ句、からかって泣かせたと学校から祖母に連絡されて、こっぴどく尻を叩かれた事もあった。

やがて、時が経ち、ミコトの背が祖父を追い越す程になって直ぐの初冬である。

中学年からの悪童も落ち着いたかと担任に肩を叩かれながら中学に上がる前に、顏を合わせた事があるかもわからない父方の祖母が亡くなったと電話で両親から耳にした。

親の説得も空しく、頑固な父方の祖父は都会になぞ行かんと、頑なに家と田を手放したがらなかったようで、両親は都会の仕事を手放す訳にも行かず、しかし老人の一人暮らしは心配だと言って、ミコトを手伝いとして彼の元に預ける事にしたと、そういった電話であったのを、ミコトはぼんやりと聞いたのだ。

卒業と同時の二度目の引っ越しに、母方の祖父母はミコトを心配していたが、向こうも似たような田舎だと知って少し安心したらしく、落ち着いたらいつでも遊びに来いと言ってミコトを送り出した。
当人であるミコトはと言うと、正直な所、乗り気では無かったが、どうしようもないまま見慣れた山や川を名残惜しく眺めるばかりであった。

単身、佐賀の奥地から新幹線を乗り継ぎ北へ北へ、鈍行を乗り継ぎ読み方の怪しい駅の改札を降りると、其処は佐賀とは余りにも違う様子で、雪が肩より高く降り積もる無人駅でミコトはまたもや呆然とする羽目になる。

バス停も迎えの車も無い駅に、唯一あった公衆電話で、どうにか連絡を取ろうと両親に掛けるも繋がらず、途方に暮れて待つこと三時間半ほど。

見知らぬ祖父の知り合いだと名乗る男にトラックの荷台に乗せられて、さらに雪深い谷沿いの平屋に案内され、ミコトはようやく一息吐く事が出来たと言う。

さて、田舎の家には平屋が多いのをご存じだろうか。

勿論二階がある洋風な家に住む人間も少なくは無いが、途中通った東京のようなごちゃごちゃしたビルディングに人が住めるとは、とても思えないほど田舎には土地が余っている。

上がれば熊の毛皮の床敷きや雉の標本なんてものは珍しく無く、やはり新しい家も土間からの眺めはミコトが知る家に近かった。

案内されるまま、鶯張の長い廊下を奥に進み、障子と土壁で区切られた座敷に進んだ先、囲炉裏の端に座っていた熊のような老人を見つけたミコトは、途端に目を剥いて驚いた。

父方の祖父は御歳九十を超えると聞いていたが、とてもそうは見えなかったからだ。

実は足元にある熊の敷物が人間を鞣した飾り物で、自分が相対しているのが穴蔵の熊ではないかという錯覚が過ったほど、祖父には何らかの凄さが漲っていた。
皺の入った顔立ちや、禿げた頭部、南の人間よりはやや薄い肌の色を気にするより先に、山狩りの男独特の威圧感でずっしりと構えられているという緊張感でミコトの首が亀のようにすくむ。

一方軽い調子のもう一人の男、ミコトを此処まで乗せてくれた運転手は、祖父に弟子入りしている若いマタギだったらしい。
山中に長い猟銃を携えて、この奥の山二つ先まで潜るのだと楽しそうに語っていたが、ミコトは黙ったまま、黙々と酒を呑んでいる祖父が自分に帰れと言うのではないかと気が気でなかったし、この時の気まずさを彼は大人になっても忘れることは出来なかったのだ。

そうして暮らしていると、やはり同じ田舎でも前と同じような過ごし方が出来ない事はままあった。
学業を疎かにすると祖父は酷くミコトを貶したりもしたし、何とか仲良くなろうと山麓で雪城のヤマメを釣って帰ってみれば、そんなもの食い飽きたとまで言われてしまって途方に暮れる。
祖父には相手にされず、春になれば此処を出ていくと言った若いマタギには何かと慰められるばかりの日々が過ぎて行った。

春、言葉の通りマタギの男は去っていって、いよいよ二人だけの暮らしが始まった。

田植えや畑は辺りの者に任せてあるからと言われて手伝う事も許されず、辺りの農家の子達だけは向こうと同じように遊ぶ間も無いらしいまま年が一つ明け、二つ明け。

小遣いを貰えなかったり菓子が無いのは当たり前だったからか、ミコトの山歩きにより磨きが掛かったのは言うまでも無いだろう。

悪童再来である。

勿論、今度は歳を重ねて知恵を付けただけあって学校にバレるようなことも無かったが、カエルの尻にストローを突っ込んだり、貉の穴に癇癪玉を放り込んだりと、質の悪さは変わら無かったようだ。

その頃から、ミコトは自身がなんとも変な生き物に慕われているのを自覚し始めていた。

それは、黄色く、ミコトが呼べばいつの間にか現れる粘菌のような生き物で、何処から現れるかわからないままに、ふと現れてはミコトの捕まえた虫をまるごと食べたりする習性を持っていた。

図書館も無い田舎だったので、学校の先生にそういったものを知らないかと訪ねれば、妖怪の話かと笑われ、ミコトはその話を聞いていたクラスの友人達にも鼻で笑われる羽目になったが、どうやら彼らにコレは見えないらしいという事だけはよくわかったので、その後二度と口にはしなかった。

自分の言うことをよく聞く手下が出来たのだとミコトはそう考えることにしたのだ。

ソレはミコトの心をよくわかっていた。
意識しだしてからは、より詳細な命令だって聞くようになったし、ミコトの思いのままに動いた。

猟銃や罠も無しに兎を採って与えてもみた。
深い場所で野犬に襲われても、黄色い生き物に掛かればまるで蟻を踏むように容易く蹴散らせたし、恐らくは猪に襲われても大丈夫だろうという実感がミコトにはあったのだ。

そして、それを祖父は勘づいていたのだろうか。

その頃から、ミコトが家に帰る度、何度も祖父は彼の頭から足までをジッと睨み付けて、無言でミコトに圧を掛けた。
お前、山で何をした。そういったも同然の圧であったが、ミコトはもはや祖父に怯みはしなかった。

黄色が居れば、祖父なんて丸呑みに出来る。
そう、わかっていたのだ。

その週の内に、祖父はあれほど嫌がっていたのが嘘のように都会の老人ホームに世話になるとミコトの両親に告げた。

そして現在。
ミコトは両親の元で暮らし、都会の高校へ通っている。
元の祖父母の回りに高校が無かったのだ。
あの隔離されたように穏やかな田舎を思えば、それも仕方のない事かもしれない。

都会に住み出して、ミコトの生活は一変した。

放課後になれば学友達に誘われてゲーセンやコンビニを遊び回り、田舎の女子とはまるで違う生き物のようなギャルに囲まれ過ごす。
華美な装飾で日に日に態度が横暴になり、黄色を使ってやる相手もミコトへと喧嘩を吹っ掛けてくる馬鹿なヤンキーへ変わった。
家に帰れば、作りおきの料理を暖めて食べれるし、インスタントもある。
なに不自由無い生活で、狩りをする気も、その場所も、何処か遠くに離れて行ってしまった。
そうミコトは感じて、暮らしていたのかもしれない。


「そういえば来週からニューヨークに旅行に行くんだったな。」

見上げた先、カレンダーに記された旅行の二文字。

これがミコトの転機になるなどとは、この時は誰も知らずにいたのだ。当人であるミコトでさえも・・・。

To be continue
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っていう、ラバソ。
この後はデーボに会って、さらにディオに勧誘されるあたりまで妄想した。

愛田 命
ラバーソール
っていう、偽名なら萌えるなって話( ^∀^)

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12:47
制約君ネタ
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最近傷フェチでデーボ好きになったと思ったらいつのまにかラバソに萌えていた。
そんなわけで、改変ラバソ君とかどないやっていう話である。

勝手な設定として。
ラバソは日本人かつ承太郎や花京院の学校の後輩。
実は保健室に居た。
制約で顔や体型をコロコロ変えてる。
実はDIOにずっと報告する係として日本からシンガポールまで着いてきてた。
実家がヤクザでデーボさんと仲良し。
DIOに友達勧誘された一人。
ほのぼの館きぼう。
スタンド使いとして、やっぱり子供の頃からトラウマ持ち。(一般人に見えるのも余計にアウト)
人懐っこい(恋しい)+構ってちゃん+割と誰にでも気安い+お調子者。
人の顔を伺う癖がある→制約で真似る為余計に見る→人の名前とか顔を覚えるのが得意。
花京院(肉芽)とは割と仲が良かった。

そんなラバソ萌える。
あいつ承太郎に比べたら大分若いんだもの!(気がする)

味方に成らないけど何処までも星軍を尾行してデーボに怒られ、結局巻き込まれ、デーボ殺されかけて怒ったり、オラオラされた後で花京院+ジョセフに絆されたり、またデーボに怒られたり、アヴドゥルに占ってもらってテンション上がったり、でもDIOに定時連絡はしたり、そんな感じでエジプトまで連いて来ちゃう。

そんなラバソ。
SSでいいデス下さい。

日本人なら名前はどうなるんだろう…。

愛田 命(あいだ みこと)とかか?

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