渦巻き

□今日くらいは…
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ナルトはサスケの斜め下辺りの枝まで登った

この距離で気付いていないはずないのだが、彼は何も言わなかった

無視されているみたいで気にくわなかったナルトは、いつもの喧嘩口調でサスケに話しかけた


ナ「やいサスケ!

優等生が授業サボってこんな所で日向ぼっこかぁ?

いいご身分だなぁ!!」


ナルトは精一杯声を張り上る

いつもならサスケも黙って言われてるなんて事はないのだが、今日だけは違った


ナルトは完全に無視されたと思い、顔を見て言ってやろうとサスケと同じ枝に上がった


ナ「おいサスケ!

無視すんなってばよ!」


そう言って、ナルトはサスケの肩に手をかけた


ナ「!!!」


サ「………うざい」


一瞬だけ合った目が、少しだけ涙で濡れていた

泣いているか確認したかったが、すぐ顔を逸らされてしまったため、それは叶わなかった


ナルトはしばらく停止した後、黙って隣に座った



数秒の沈黙


先に耐えきれなくなったのは、やっぱりナルトだった


ナ「あのさ……

今日あんま授業出てねぇけど、どうしたんだってばよ?」


サ「………別に」


ちょっと勇気を出したナルトの言葉が、たった一言で返される

いつもならキレるが、今日はとてもそんな気分にはなれなかった


ナルトはめげずに話しかける


ナ「お前が居ない間に、俺ってば強くなっちゃうってばよ?

いいの?」

サ「………」

ナ「授業サボってるとイルカ先生に怒られるってばよ?」

サ「………」

ナ「お前の昼飯勝手に食うけど、いいの?」

サ「………」

ナ「………」


なんだってばよ、こいつ……

そんな無視しなくてもいいじゃん……


ナルトは少しだけ悲しくなって俯いた


すると、サスケはようやく口を開いた



サ「………今日は、いい」

ナ「!!?」


いい、って何がいいんだってばよ!?

昼飯食っていいって事か!?


突然の言葉にナルトは少し混乱した

その思考の中に、言葉を返してくれた事への喜びが少しだけ混ざっていて、余計に混乱した

そんなナルトに見向きもせず、サスケは言葉を続ける


サ「今日は……
……頑張らなくていい、気がする……」


ナ「!!」
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