団扇兄弟

□タイムスリップ過去編
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イ「サスケ?

そろそろ起きないとおやつ抜きだって母さんが言ってたぞ?」


そう言いながらイタチが部屋に入ってきた

サスケはその様子を窓の外から伺う


サ「………イタチ?」


あれは確かにイタチだ

でも、多分下忍か、中忍になったばかりの年だ


………まさか、俺は過去に来ているのか?

……いや、ありえない

そんな術があるなら皆使ってる

じゃあ、これは夢か?

………


サスケはベタに自分の頬をつねってみる


サ「………夢な訳ないか」


さすがに夢と現実の区別はつく

間違いない

俺は、過去に来ている……


そう思った時


フ「誰だ!!」

サ「!!?」


サスケが居る屋根の上に、サスケの父、うちはフガクが現れた


サ「………」


サスケはフガクから目を離す事が出来ない

うちはが滅亡したあの夜以降、どんなに望んでも会えない大好きだった父親が生きてそこに居る

まだ一族が滅ぶ前なのだから生きているのは当然だが、実際目にするとやはり夢ではないかと疑う


サスケの思考回路は完全に固まってしまった

そんなサスケに、フガクは話しかける


フ「……お前は何者だ

何故、うちはの家紋が入った服を着ている?」

サ「!!!」


サスケはフガクの言葉で我に返った

フガクは何時でも戦えるよう、クナイを構えている


サ「………」


……そうだよな

この時代にとって俺は異物

本来なら居てはいけない

……父さんにクナイを向けられる日が来るなんて……


サスケはとても悲しくなった

会いたくて会いたくて仕方の無かった人達が、自分を敵として認識する

とてつもなく耐え難い事だ


とりあえず、サスケはこの場を離れる事を決めた

父から逃げるのは至難の技だが、今のサスケなら出来る


サスケが逃げる為の体勢に入ろうとした時、さっきまで中に居たイタチが屋根に上がってきた


イ「父上!!」

フ「……イタチか」


イタチも父と同じようにクナイを構える

それがさらにサスケを悲しくさせた


サ「………ッ」


ずっとポーカーフェイスを保っていたが、今回は少し顔に出てしまった

だが、それも一瞬の事

直ぐに無表情を取り戻し、逃げる隙を伺う


イ「……?」


イタチが何故か不思議そうな顔をしていたが、今のサスケに気にする余裕は無かった

サスケは足にチャクラを溜める

そして、一気にその場を離れた


フ「!!?

速い!!!」

イ「!!!」


二人は驚いた

うちはの名を持つ二人にとって、普通の忍に逃げられるなんて事は無い

だが、自分達が出遅れる程のスピードで一瞬で距離を離された

相手の力量が予想を遥かに上回っていた

フガクはイタチに話しかける


フ「……何者か分からないが、相当な手練れだ

イタチにはまだ荷が思い

家に居なさい」

イ「………」

フ「……イタチ?」


返って来るはずの返事が来ない事に疑問を持ったフガクはイタチを見る

イタチは、少し思案したあと話し出した


イ「父上……

サスケが居ないんです

どこを探しても、何処にも……」

フ「……?

あぁ、後で一緒に探すが……

今は関係無いだろう?」

イ「……さっきの、男の人が一瞬泣きそうな顔をしたの気付きましたか?」

フ「……あぁ、その一瞬しか表情に変化が無かったからな……」

イ「あの顔……

サスケが辛いの我慢している時に、そっくりだった……」

フ「!!

……確かに、それは俺も思ったが…」

イ「それに、容姿もサスケと似ている

幼く無かったけど、何処か面影があったし、何よりうちはの家紋の服を着ていた

……父上、もしかしたら…」

フ「……可能性は無くはない

………確かめるか」

イ「はい

サスケが行きそうな場所は大体分かります

行きましょう」

フ「あぁ」


二人は同時に走り出した
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