『妾は皆が大好きだから』
□変態仮面の帰還
1ページ/1ページ
ある日、悲劇が起こった。
…それは、それは。
変態仮面の帰還だった。
とある平凡な日曜日。朝8時ごろ。
和やかに、穏やかに緑茶を飲んでいたときだった。
「昨夜無事帰還したぞ!!我が肉便器ども!!」
戸を勢いよく開けて入ってきたのは、ご存知の通り、青鬼院蜻蛉。
一瞬で穏やかだった応接間(ラウンジ)の空気が凍った。
それを残夏が破ってくれたおかげで応接間の空気が元に戻った。
「蜻た〜ん♥お帰り〜」
「ふん、貴様か。お帰りと言ってやらんこともないぞ」
「お帰りなさいませ、蜻蛉さま」
「あぁ、蜻蛉殿か。お帰り、蜻蛉殿」
この時応接間に居たのは妾、残夏、凛々蝶殿、御狐神殿、カルタ殿。
卍里殿は修行(ランニング)に行っている。
「今回は京都に行ってきたぞ!!」
「蜻蛉さま…皆さんが引きつった顔をなさってます」
「土産を買ってきてやったぞ!」
「拷問道具一択で」
「おぉ!亜良子か!!貴様には荒縄だ!」
「解った。蜻蛉殿を絞め殺せば良いのだな?」
「亜良子!貴様なかなかのドS!!悦いぞ悦いぞー!!」
「…蜻蛉殿はそんなに絞め殺されたいのだな?」
「亜良子…蜻蛉さまがミシミシいってるよ」
この大人しい奴は、鈴焼羽織(すずやはおり)ちなみに男だ。
朱雀の先祖返り。
妾の兄上的な存在だ。
朱雀の先祖返りということで、とても強い。
女郎蜘蛛(妾)の毒が通用せんのはこ奴ぐらいだ。
「羽織もお帰り…待っていたぞ。」
「亜良子…ただいま あ、これ拙者からのお土産」
そう言って羽織がくれた物は京都を代表とする和菓子の八つ橋。
羽織は妾が八つ橋が大好きなのを知っていたのか…
「八つ橋…ありがとう!!」
「いいな亜良子ちゃん…八つ橋…食べたい」
「沢山あるからカルタ殿も食べるか?」
妾がそう言うとカルタ殿は目をキラキラさせながら頷いた。
本当に可愛いな、カルタ殿は…。それに比べて妾は…。
「亜良子…また一段と可愛くなったね」
「…ありがとう////」
「あの氷室さんでも照れるんだな…」
「八つ橋…」
凛々蝶殿は動揺し、カルタ殿はモノ欲しげな顔をし、残夏は少し寂しそうに見えた。
蜻蛉殿は「放置プレイか!悦いぞ悦いぞー!!」なんて言っている。
「羽織は一段とその…老けたな」
その一言に皆、特に残夏が大爆笑している。
「前、帰ってきた時にはもっと格好良かったと思うんだが…」
「亜良子たん(笑)」
「だって本当のことだろう??」
「亜良子…前より毒舌になったね」
「そりゃあドウモ。」
妾は机に八つ橋の箱を置き、椅子に座る。
八つ橋の箱を開け、皆に一つずつ配る。
カルタ殿には、おまけにもう一つ。
そこに丁度、修行から帰ってきた卍里殿が応接間に入ってきた。
「お、お前!!?ガァァアアアァ!!?」
「卍里か!!貴様も久しいな!」
帰ってくるや否や絶叫する卍里殿、カルタ殿は八つ橋を咥え卍里殿に近づく。
「渡狸…今日も修行できた?」
「…お、おう///」
「良かった…じゃあ渡狸も一緒に八つ橋…食べよ?」
「あ。卍里殿の分ないぞ?さっきカルタ殿が食べたので最後だ」
「じゃあ、これ…あげる」
そう言って差し出したのは棒付きキャンディ。
「これ、いつもカルタが食べてるやつ…いいのか?」
「うん…私この味好きだから渡狸にも食べて欲しい」
「二人の世界だねー」
「…妾は部屋に戻ってシャワーを浴びてくるが残夏はどうするのだ?」
「んー?ボクはもうちょっとココに居ようかな✩」
「解った。じゃあ、また気が向いたら降りてくるぞ」
「亜良子、拙者がついていこうか?」
「主人をおいていくのか?悦いぞ悦いぞー!!」
「ありがとう、羽織。でも大丈夫」
「そうか。」
「うん…」
そう言って妾は応接間を後にした。
部屋に帰ってシャワーを浴びた時には1時を過ぎていた。
残夏に言いたいことがあったのを思い出したのでまた応接間に行こうとしていたら、野ばら殿を見かけた。
妾が声をかける前に声をかけられた。
「亜良子ちゃん、浮かない顔してるけどなにかあったのかしら?お姉さんいつでも相談にのるわよ?」
「ありがとう…野ばら殿。でもいいんだ」
「ところで…今日の亜良子ちゃん、白い花柄のロングワンピースにジーンズ生地のベスト着用、素足にサンダル…非常にヤバいわよ!?」
「そんなに変か!?」
「ううん、とってもメニアック♥でも、珍しいわね、亜良子ちゃんがそういう服を着るのわ」
「うん。たまにはいいかなって」
野ばら殿と話しながら応接間に向かった。
応接間に着くと残夏、蜻蛉殿、羽織、卍里殿、カルタ殿、反ノ塚殿が居た。
「あ、亜良子たんお帰り〜✩」
「よぉ、亜良子〜」
式に表すと《7−2+1》というわけか。
前に居た人数−凛々蝶殿・御狐神殿+反ノ塚殿…か。
「こない方がよかった…」
「えー。それどーいう意味ー?」
妾の独り言が聞こえたらしく反ノ塚殿が聞いてくる、がここは無視しよう。
「残夏、ちょっと話があるのだがいいか?」
「んー?別にいいけどー?」