『妾は皆が大好きだから』

□本当の帰還。
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「で、どうしたのー??」

「妾、家に帰ろうと思う。」

「《!?》どうして!?亜良子たん!?」

「だってここに居ても、残夏や皆に迷惑をかけることになるから…」



驚いた。残夏があんなに動揺するとは思っていなかった。


「残夏が妾の事を大切にしてくれてつのは100も承知。だけど…」

「家であんな目にあってるのに家に戻れるの…?」

「…妾は強くなりたいんだ。残夏を守るために」

「亜良子たん…」





妾が妖館に入居したのは実に5年前。
その当時には住人もほとんど居らず、妾はいつも一人だった。

最初はSSなんていなかったから。
その事を知ってか知らずか残夏は「じゃあボクが亜良子たんのSSをするよ〜」と言ってくれたおかげで妾は一人ではなくなったが、孤独は続いた。



実家は大企業で、妾は跡継ぎとなるはずだった。
でも、妾が1歳半のとき妹が生まれた。
名を舞良明《まりあ》という。
妾の親にネーミングのセンスが無いのは言うまでもない。
最初に名前を聞いたときは「アリスの次はマリアか。」と思った。



出来損ないの妾とは違い、妹は生まれた時から英才教育を施されていた。
妾が唯一出来た日本舞踊さえも否定された。
だから、妾は家出した。
勿論、行くあてはない。



『舞良明…』

『あっ!出来損ないの姉様かぁ(笑)』

『舞良明は辛くないのか?』

『別にぃ〜??姉様じゃあるまいし』

『そういう意味じゃなくて、精神的に…』

『ふ…あははは!!!姉様が言いそうな事だねぇ』

『舞良明は妾の妹じゃない。今の其方はただの氷室家の跡取り娘。』

『その上から目線やめてくれる??出来損ないのクセにムカつくんだわ』

『英才教育を受けてるからっていい気になるなよ…』

『あははー、怒らせちゃったぁ??』

『立場上は其方の方が上かもしれないが、妾は氷室家の先祖返りだぞ?』

『…だから?だからなんだって言うの?』

『今の其方には跡取り娘という看板がお似合いだ。』

『負け犬の遠吠えってやつ〜??笑えるねぇ』

『チッ この能なしがっ!!』

『姉様よりはマシだと思うけど?』

『…其方は氷室家の道具となって嬉しいか?妾はそんな人生は嫌だ!自分の人生は自分で決める!!』

『そんなの綺麗事じゃん!!!』

『そうかもしれない。でも、何かに縛られるのは嫌なんだ』

『嫌い。舞良明、姉様のそういうとこ嫌い。』

『嫌いでいい。だが、妾の事を見くびるな!!』

『…ふぅん。姉様は未来に希望があるんだねぇ。舞良明の気持ちも知らないくせに』

『其方も自分の道は自分で決めろ。氷室家にばっかり頼るな!その英才教育を活かせろ!』



そう言って家を出てからかれこれ6年。
家出してから、一度も実家に帰ったことはない。




「それに、妾がいなくなったら残夏も楽だろう?」

「そんなことないよ…。亜良子たんが居てこその毎日だよ…?」

「…そんな事言われたのは初めてだ。」

「それでも亜良子たんは家に戻るの?ボクのことは放置プレイ…??」

「…う゛ で、でも…」

「ボクは亜良子たんに居て欲しいよ?」

「があぁああああ゛!!解った!解ったから!!」

「そっか☆よかった〜」

「うわ、すっごい敗北感。」

「でも、良かったと思ってるんだよ?亜良子たんのSSになれて」

「《ドキッ》残夏の分際でそんな事を申すなっ!!////」

「あ〜顔、赤いよ〜??どうしたのかなぁ〜?」

「残夏のドSぅ〜…」

「なんのことかな〜☆」




残夏は優しい。
いつも妾や皆の事を考えている。


「そんな残夏だから好きになったのかもしれんな…」

「告白ぅ?♥」

「!?/////殺す/////」

「カワイー☆」


やっぱり残夏にはいつも迷惑をかけている。
なにかお詫びがしたい、せめて一緒に緑茶でも…って凛々蝶殿じゃあるまいしっ!!!

いつか妾がもっと精神的に大人になったら残夏になにかお詫びをしよう。




END
この話書き終わってから残夏のキャラが破壊されてるのに気付いたww

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