真庭新入り物語
□真庭の里への新入り《全5ページ》
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『いやあぁあああ゛!!!ははうえをころさないで!!!』
目の前が紅に染まっていく。
父上と母上の亡骸。高笑いをする剣士。
剣士に皆殺しにされた一族。
生き残ったのはいない。
否、正確には二人生き残った。
『ちちうえさま…ははうえさま…』
幼い娘、それも双子。名前を菫花(姉)と蘭華(妹)という。
その当時、娘達は4歳だったが、何故生き残ることができた?
それは…その双子が剣士を刺したという。
でも今となっては詮無き事。
「はぁ…すみれぇ、これからどうする??」
「うぅ…ヒック…ははうえ、ちちうえぇ!!!」
「すみれ…かなしい?」
「そりゃあかなしいよ…さみしいよ…らんちゃんはちがうの?…うぅ」
「ぼくはかなしくない。だってぼくにはすみれがいるでしょ?」
「らん…ちゃん、これからわたしのことまもってくれる?」
「うん」
「たすけてくれる?」
「うん」
「ぜったいわたしのことひとりにしない?」
「うん」
「やくそくだよ…?」
「…うん、やくそくする」
あれから10年が経ったある日。
菫花は外が騒がしいのに気付いた。
「蘭ちゃん…外うるさくない?くノ一でもいるのかしら?」
「くノ一…か。居たら居たで殺すだけだ」
「無駄な殺しはしないに限りますよ〜…でも、顔ぐらいは拝見しとこうかしらぁ〜♪」
「菫…なぜそんなに楽しそうなんだ…」
「蘭ちゃん!私もくノ一になれるかな〜?」
「はぁ…やれやれ。てゆうか何でくノ一なんだ…」
菫花が戸を開けたらそこは一面血の海だった。
母上と父上が殺された時みたいに。
「まぁ、なんとぉ…辺り一面血の海〜!蘭ちゃん蘭ちゃん!来てきて!!」
蘭は溜め息をついて家から出てきた。
無論、蘭華も家の外が血の海だとは想像もつかない。
「はぁ…こりゃあ掃除が大変そうだ『蘭ちゃん!あの人じゃない!?』何が?」
「くノ一!!」と言って菫花は屋根を指差した。
そこには黒色の衣服を着た髪の長い女の人(?)が立っていた。
『やれやれ、もう気付かれてしまいましたか』
そういうとくノ一(?)は屋根から降りてきて蘭華と菫花の前に立った。
「くノ一じゃなかった…男だった…残念。」
「同感…。」
二人は本気でくノ一だと思っていたようだった。
『私の名前ですか?』
菫花)「聞いてないよ??」蘭華)「あぁ」
『私は真庭忍軍十二頭領が一人、真庭喰鮫と申します』
菫花)「ふうん。真庭喰鮫ねぇ…《ボソ》変な名前…」 蘭華)「本当に忍者なのか…?」
『はい(ニコニコー』
菫花)「蘭ちゃん、この人怖い…」 蘭華)「菫に何かしたら殺す。」
『おやおや、怖いですね、怖いですね、怖いですね』
菫花)「うわー引くー」 蘭華)「確かに…」
「で、忍者様が私達に何の用がお有りで?」と菫花が真面目な顔で聞くと真庭喰鮫という男はゆっくりと口を開いた。
『真庭の里からお迎えにあがりました』
二人は一瞬驚いたような表情をしたが、すぐにまた元の顔に戻った。
大体、いつかは迎えが来ると思っていたからだ。
「でも、真庭の里からくるとは予想外だった」
「来るんだったらもっと目立たないような服を着てこれないのかしら??」
「それにこの動きにくい服はなんなんだ?真庭の里の者は皆そうなのか?」
『まぁ…そうですね』
「そうなのか…。」
「めんどくさいなぁ…絶対行かなきゃだめぇ??」
『はい、これも任務ですから引きずってでも連れて行きますよ フフフ…』
「ほんと怖いこの人…」