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□ある夜の宿屋で
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ある夜の宿屋の一室。

「どうしましょう、眠れません」

夜遅くまで本を読み、そろそろ寝たほうがいいだろうと思いいざベットへ潜ってみたものの、なかなか眠れない。

「本の読みすぎで目が冴えてしまったんでしょうか」

明日も朝早いのだ。

早く寝ないと明日に響いてしまう。


「あっ、確かジュディスは」

いつだったかジュディスが言っていたことを思い出す。


『体を動かせばよく眠れるわ』


確かこんなことを言っていた。

「でもどうしましょう、もう夜遅いですし」

だからと言って眠れる訳でもない。


「物は試しといいますし、やってみましょう!」

いつもの服のピンクのワンピースだけを着て、なるべく音をたてないように部屋を出た。



階段を降りて宿屋の入り口に行く。

すると突然ドアが開いた。


「エステル?」


「ユっ、ユーリ!?」

扉から現れたのは旅の仲間でありエステルの恋人のユーリだった。

「エステル外に行くつもりだったのか?」

「えっ、いえ、あの」

「行くつもりだったんだな?」

「うぅ、はい」

すぐにバレてしまいすぐに訳を話そうとしたら。

「先に言っておくが駄目だぞ」

訳を話す前にすっぱりと言い切られてしまう。

けどこれくらいで諦める訳にもいかない。

「ユーリでもこれには訳があるんです!」

私はなんとかユーリに外に行きたい訳を話した。


「目が冴えて眠れないから外で体を動かそうと思った、ねぇ」

「はい、それで外に・・」

「行こうとしたと」

「はい」

「お前の理由は分かったが、さっきも行った通り駄目」

訳を話したからOKを貰えると思っていたのに・・・。
そう思っていたら。

「ここらへんの魔物はまだちゃんと調べてないし、お前一人でこんな真夜中に外に行かせるわけにはいかないの」

彼は私のことを心配してくれていたのだ。

彼の話を聞いたら止めておいたほうがいいと思うようになって

「そう、ですよね。危ないですね」

「そういうこと」

「でも、これでまた振り出しに戻ってしまいました」

そう状況は変わらないまま。
また何をするか決めなければならない。

私が項垂れているとユーリが私の頭をポンポンと叩いてきた。


「まっ、でもそんなに眠れないならオレがホットミルクでも作ってやるよ」

ユーリが目を細め優しい笑みでそんなことを言うものだから顔に熱が集まる。



「お願いします///」

私がうつむいてお願いをすると
ユーリは

「了解、お姫さま」

そう言って私の額にキスをする。



私はこの時本当に彼には敵わないと心から思ったのだった。




余談ですが、その夜はユーリのホットミルクのおかげでぐっすりねむれました


END
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