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□雨の日の夜に彼と私
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夜。
天気は最悪、雨と雷が止まらない。
私は一人ベットで毛布にくるまりながら過ごしていた。

ドォォォン!!

「ひゃっ」

どうやら近くで落ちたらしい。

こういう日に限って宿の部屋割りは一人部屋。資金に余裕があったからだ。

「怖くない怖くない」

自分にそう言い聞かせるも

ドォン ドォォォン

「きゃあっ」

涙が出そうになる。
毛布を強く握る。
すると

「なにやってんだよ」




不意に声が聞こえた。
私が想ってやまない人。



「たくっ、怖いならオレのところに来ればいいのに」

何時からそこにいたのかは分からないが、ユーリが居ることに凄く安心している私がいた。

「ユーリもう寝てると思って」

毛布越しに会話をする。

ガバッ

「ひゃっ」

毛布を剥ぎ取られた。
目の前にあるのはユーリの整った綺麗な顔。

「ここに毛布より安全かつ安心な物件があるがどうする?」

意地悪な質問をしてくる。
彼は本当に意地悪だ。

「ユーリが、いいです・・・」

恥ずかしかったけど、毛布よりも断然ユーリのほうが私にとって安心できる。

「よくできました」

そういって彼は優しく笑った。

ユーリが優しく抱きしめてくれる。
それだけで私は幸せな気分になれる。

「でもなんでユーリは私が怖がってるってわかったんです?」

彼はニヤリと笑って答える。

「どっかの誰かさんがあんまり叫んでるもんだからオレの部屋まで聞こえてきたんだよ」

「っ/// そんなに大きかったです?」

「おお、雷に負けない程な」

彼はくくっと喉をならして笑う。

私はそんなに大きな声を出していたことに恥ずかしいと思っていたらユーリが声をかけてきた。


「エステルが寝るまで居てやるからもう寝ろ」

そう言って優しくベットに寝かしつけられる。

「ユーリは?」

「エステルが寝たらオレも寝るよ」

「ユーリ帰っちゃうんです?」

「ん? あぁ、まぁ帰らないといろいろと不味いしな」

私は内心で残念がりながら眠りにつこうとした。
そのとき

ドオォォォォン!!!!

今までで一番大きい雷が落ちた。

私は体がかってに動いていて、ユーリを自分が寝ているベットに引っ張り倒していた。

「っと、大胆だなエステルさんは」

「ちちちち違うんです///!」

私は慌てて否定をするが、顔が真っ赤でそんなことを言っても無駄だろう。

「違うのか? もし違わないんならこのまま一緒に寝ても良かったんだけどな」

ユーリの意地悪な言葉。
けど私はユーリと一緒に居たい。
だから・・・

「えっ! あ、あの、その、違うくありません! だから、その、一緒にいてください!」

私は勇気を振り絞って言った。
すると

「なら一緒にいてやるよ」

何て言って彼は意地悪く笑う。
もしかしたら彼には全部計算づくだったのかもしれない。
私がこう言うのも私がユーリと一緒に居たいというのも。


彼は私を抱き締めながら眠りについていた。
私も彼の体温を感じながら夢の世界へと旅立ったのであった。

そのときにはもう雨と雷は止まって、満月が空にくっきりと姿を表していた。


End
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