TOV

□chokolate kiss
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ED後。
一緒に暮らしています。





あぁ、今日もつかれた。

こんなときは甘いものが食べたい。
私は少し戸棚を開けて何かないかと物色する。

「あっ、ありました」

そこで見つけたのは板のチョコレート。
確か甘いもの好きな彼がちょくちょく持ってきてはここに入れるのだ。

彼は勝手に食べていいから、と言いながら片手にチョコレートを持っていた覚えがある。

私はチョコレートを手で割り、一欠片だけを頂くことにした。

パキンッ

チョコが割れた音。

銀の紙を少し剥がして、割れた一欠片を頂く。

口の中に広がるチョコレートの甘さ。
疲れている私の頭には染み渡るようにその甘さが浸透していった。

するとリビングの扉が開く音がした。
振り向くとチョコレートを入れている彼、ユーリが気だるげに出てきた。

「ユーリ、おはようございます」

「おー、おはようエステル。て言っても今はこんにちはの時間か」

ユーリは少し伸びをしてソファに座った。
今回の依頼は少し大変だったらしく、ユーリは昨夜遅くに帰宅した。
その性かまだ疲れた顔をしている。

「お仕事頑張っているんですからもう少し休んでもいいのに」

私はユーリが座っている隣に座り、ユーリの肩に頭を預ける。
ユーリは苦笑しながら私の頭を撫でてくれる。

「それはお前も同じだろ?オレが帰ってくる時間まで起きて書き物してたんだからな」

「あはは...」

そう。
私は昨日遅くまで原稿を執筆していて、ユーリが帰ってくる時間と重なってしまったのだ。
もっと早く切り上げて眠るつもりだったのだが、昨日は思ったよりもいいアイディアが浮かんできて時間を忘れてしまっていた。

「あっ、ユーリ。疲れているならチョコレート食べません?前にユーリがいれてたやつですけど」

「あー、そういえばあったな。エステルも食うか?」

「あっ、すいませんユーリ。私一欠片頂いちゃいました。ほら、前に勝手に食べていいって言ってたから」

私は戸棚に行ってチョコレートを見せる。
チョコレートは端が少し欠けている。


「あぁ、別に構わねぇよ」

ユーリは私の近くまできて、チョコレートを受けとる。

「それと、やっぱチョコレートはいらない」

ユーリはそう言うと、受け取ったチョコレートを戸棚にしまった。

私はてっきり食べるものだと思っていたのでユーリの行動に驚いていた

「珍しいですね、ユーリが甘いもの食べないなんて...」

「ん?目の前にもっと甘いもんあるだろ?」

「えっ?そんなものありま....」

チュッ

軽いリップ音。

一瞬の出来事。

「ごちそーさん」

ユーリはそう言うと、ひらひらと手をふってリビングを出ていった。
とても気分良さげに。

私はその場に座り込んでしまった。
今やっとさっきのことを理解した私はきっとタコみたいに真っ赤になっていることだろう。


でも、あれは



「〜〜〜あれは反則ですっ/// 」






End
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