喜びは君から。
□一番に君に
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時は遡ること7月10日。
時刻は11時過ぎ。
ピコピコ
「ほっ!!うわ!あっぶねぇ!!」
鳴瀬煌はゲームに熱中していた。
いつもこうして夜遅くまで起きているから、朝がギリギリになって幼馴染兼恋人の篠原慧に怒られるのだが、改善する様子は全くない。
というよりも、煌からしてみればいつの間にか時間が過ぎているわけで、ふと気づくと日付がとうに変わっていたりするのだ。
「あ!....あーあ、また負けてもうた...」
煌はベッドに寝っ転がってため息をついた。
先ほどからラスボスが倒せなくて、いわゆる詰みの状態なのだ。
「もうちょっとでいけそうなんやけどなぁ.....」
無情にも -GAME OVER- と表示されたゲーム画面を見つめる。
「..................」
-GAME OVER-
「もっかいやろ...」
体を起こしてリトライを選択した。
煌はもともと負けず嫌いで、諦めは悪い方だ。ただし好きなこと限定、だが。
ピコピコ
「っ!!もうちょい!もうちょい....!」
タッタラー
「....や..った。あ〜、倒せた〜。疲れた....」
そのままベッドに仰向けになった。セーブをして電源を切る。
「はぁ〜」
小一時間ほど格闘していたので、達成感が気持ちよかった。やっと倒せたという興奮で胸がドキドキしている。煌はしばらくそのまま休んでいた。