君+僕=幸
□君と僕のはじまり
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僕がこれから通うのは私立城ヶ崎高等学校。
勉強にも部活動にも力を入れているらしく、文武両道校としてわりと有名な男子校だ。
歴史がありそうな荘厳な校舎造りで、なんとなく高級感が漂っている。
校門から校舎までは綺麗に咲いた桜並木が続いていて、今そこを歩いているのは僕を含めてほんの数人。
「早く来すぎた...かな。」
時計を見ると時刻は8時過ぎ。
入学式が始まるのは9時なのでまだまだ時間があった。
辺りを見渡すと桜並木の端にベンチが置かれていた。
そこに腰掛ける。
とりあえず持ってきていた小説を読みながら時間をつぶすことにしよう。
柔らかな春風が髪を揺らしていく。
暖かな陽射しと相まって心地良い。
このまま日向ぼっこをしていたいと感じるくらいだ。
(やっぱり春っていいなぁ。気持ちいい。)
そんなことを思った直後
「やっぱ春は気持ちいいな。」
凛とした声が耳に入った。
ちょうど同じことを考えていたので、反射的に顔を上げると
一人の生徒が桜の木を眺めていた。
制服を少し着くずし、頭にはバンダナ。あまり感情の見えない表情から、クールな印象を受ける。
スラリと背も高く、少し大人びた雰囲気を持っている。
ほぼ無意識にじっと見ているとその生徒が僕に気づいた。