君+僕=幸

□関わりなんていらない
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次の日


「おはよう!」

「........」(完全無視)





一週間後


「斗真おはよう!」

「.........」(変わりなし)





二週間後


「おはよう。今日天気いいな!」

「.........」(チラリと琉惺を見る)





一か月後


「おはよう、斗真!」

「..........おはよ....」






あれから琉惺は毎日斗真に話しかけている。


初めのうちは無視を決め込んでいた斗真も、やっと挨拶くらいは返してくれるようになった。ただ、まだ会話は続かないし、笑ってもくれない。



だが、琉惺は焦らなかった。ほんの少しずつだけど、斗真が警戒心を解いてきているのがわかるからだ。その証拠に以前より、表情が幾分か柔らかくなった。無表情なことには変わりはないが、いつでも睨みつけるということは無くなった。









「あ、斗真帰んのか?また明日な!!」



廊下を歩く斗真を見つけた琉惺が、いつもと同じように声をかけた。斗真は一瞬だけそちらに目を向けたが、言葉を返すことなくそのまま歩みを進める。そんな彼の態度に琉惺は特に気分を害した様子もなく、ただ笑って見送っていた。







「(毎日毎日飽きないやつ...僕に話しかけて何が楽しいの?)」



斗真は毎日懲りずに話しかけてくる琉惺に、少しずつ心を許している自分に気づいていた。そして、それと同じだけ不安が募っていることにも。それでも他人を受け入れようとしている自分が信じられずにいる。



「(.....僕は....)」



心になんともいえない気持ちを抱えて、帰路についた。
















「(今日は結構目合わせてくれたなー。)」



琉惺は毎日が楽しかった。

斗真と会えるのが嬉しかった。少しでも話せることが嬉しかった。徐々に心を開いてくれているのが嬉しかった。

中学ではもうなんでもいいやと思い、荒れに荒れていたため、友達と呼べる人など全くいなかった。強いてあげるなら、強さに憧れを持った馬鹿どもが勝手にちょろちょろしていただけだ。だから人に対してこんなに積極的になれたのは久しぶりだった。





「けど、なんか違うんだよな。」



家への道を歩く琉惺は、考えるように腕を組み、空を見上げた。

琉惺の斗真に対する気持ち。この気持ちがただ仲良くなりたいというだけでは、言い切れない気がするのだ。だが、ならば何だといわれても、まだ答えは出せていない。






「(...まぁ、いいか。)」



学校を出てからずっと考え続けていた琉惺は、一旦考えるのを止めにして、家の門をくぐっていった。



 
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