喜びは君から。
□特別な日
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「また同い年やな!」
「そうだね」
煌の誕生日から約2ヶ月。
たった2ヶ月の間だけ煌がお兄さんになる。どちらかといえば二人の性格上の立場は逆だといえるが。なにせ慧は煌のストッパー役であることが多い。周りの認識もそんな感じである。まぁ本人達は意識しているわけではないが。
「あ、そや!はいこれ」
思い出したように煌はカバンを漁ると、目的の物を見つけて慧に差し出した。
「誕生日プレゼント」
「ありがとう。」
袋を受け取った慧は嬉しそうに微笑んだ。それを見て煌も満足そうに笑う。
「あんな!それタオルやねんけど、俺と色違いなんやで!」
これ!と煌は真新しいタオルを開いた。黒地に赤を基調とした模様でかっこいいと慧は思ったと同時に、煌らしいチョイスだなと顔を綻ばせた。
「慧のんはこの赤いとこが青になっとる!」
「かっこいいね。」
「やろ!?」
「ふふ、ありがと。大切に使うよ。」
「おん!」
煌は満面の笑みを浮かべた。
「なぁ、慧。」
「ん?」
さっきのようなニカッとした笑顔ではなく、優しい慈愛のこもった表情で、煌はそっと慧の手を握った。
「生まれてきてくれてありがとう。大好き。」
そう言った声は優しくて、ふうわりと微笑む煌に慧の頬が少しばかり色付いた。ちょっと照れくさそうに、けれど幸せそうに微笑んだ慧は、空いてる方の手を煌にまわした。
「ありがとう。俺も大好きだよ。」
「...へへ」
煌は驚きつつも嬉しそうに笑った。そういえば自分の誕生日もこれと同じ状態になったなと思いながら。
「慧学校行こー」
「うん」
存分に互いの体温を感じた後、二人は通学路を進んだ。いつも以上に幸せそうな笑みを携えて。
特別な日
後にそれぞれの部活で、タオルを見つめながら幸せオーラを出す二人が目撃されたとか...
((よし!頑張ろう!))
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慧お誕生日おめでとう!
優しい常識人慧くんですが、なんだかんだ大胆なんです。
家の真ん前で抱き合ったりね。うん。
安定の仲良し幼馴染カップルでした。
2013.9.23