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□出会いは必然
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「ほら、ご飯だよー」



いつものように、朝ご飯を猫に与える。
袋から缶詰のキャットフードを取りだし、
地面に置いてから私はベンチに座ってそれを眺める。邪魔すると怒る為いつもこうして猫が食べ終わるのを待つ。



「なんか最近太った?」



前より丸々としている気がする。
ご飯はいつもちゃんと量考えてるのに何でだろう。食べ終わった猫を持ち上げてまじまじと見る。やっぱりお腹が出ている。



「こりゃまたぷくぷく太ったねー」



少し量減らすか、なんて考えながら教室に戻る。お腹が満たされた猫はどこかに行ってしまった。



*



休日はあまり行けない日が多い。
誰か餌やってくれないかな、誰かやってくれそうな人をかんがえながら窓の外を眺める。基本土日はバイトで学校に行けない。
日曜日バイト終わったら二日分、ちゃんとご飯あげよう。と決め必要なものをつめてバイト先へ向かった。



「お疲れ様です」



挨拶してから店を飛び出て近くのコンビニでキャットフードを買う。

いつものところに向かえばそこには既に先客がいた。



「あ、あの、こんにちは」

「なァに、誰?」

「えっと…」



手に持つ袋に視線を落した。
まさかこの人も餌、あげていてくれてたのかな。



「それ、こいつの?」

「あ、うん、猫にいつもあげてて、休みはあまり来れないから」

「だからか、こいつがこんだけ太ってたのは」

「休みの日、いつもあげてくれてたんですか?」

「あァ、暇だったからねェ、つか立ってねェで座れば」

「お、お邪魔します」



固定されたベンチに座る。
荒北くんと距離は自然と近くなる。
ふと横を見れば、プシュッと音を鳴らしベプシを飲んでいた。



「なンだよ、何かついてんのか」

「あ、いや…別に、!」



無意識に見過ぎだことに恥ずかしくなる。
名前は知っていたけれど実際言葉を交わすのは初めてで、少し緊張する。



「ありがとねェ、こいつに餌やってくれて」

「あ、いえこちらこそ」



なんだいい人じゃないか。友達からは"怖い""近寄りがたい""怒りっぽい"とか色々聞いてたから怖いイメージしかなかったけど、ちゃんと向き合えばいい人なんだ。




「全然、怖くないね」

「お前猫苦手だったのかヨ」

「え?」



思っていた返答とまるで予想外な返事につい笑ってしまう。



「なンだよ!」

「案外優しい人だなと思って」

「…授業始まる、帰んゾ」

「あ、待って」



授業までもうあと2,3分しかなかったため急いで先を歩く荒北君の隣に並んだ。



「明日、」

「へ?」

「昼ここ来いヨ」



顔を前に向けたままそれだけ言い残すと自分の教室に帰っていった。




「は、い!」




物語はひとつのきっかけがあれば案外すぐに始まりの歯車を回す。



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