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□変わらぬ想い
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「東堂君!」
「なまえではないか」
部活が終わり寮へ戻ろうとしたらなまえ、巻ちゃんの妹が来た。巻ちゃんは総北高校だが妹のなまえは箱学に通っている。年はひとつ下の高校2年生だ。
「どうしたのだ?」
「東堂君に会いに来たー」
"へへ"っと言いながら抱きついてくるなまえが可愛すぎるではないか。さすが巻ちゃんの妹だ。
巻ちゃんがここまで羨ましいと思ったことは無い。
「なまえ?頬の怪我、どうした?」
頬の辺りが赤い。何かにぶつけたような跡があり、口は切れている。
そういえばなまえは"朝電柱にぶつかっちゃって"なんていいながら笑っている。
最近よく怪我するから気をつけて欲しい。
「全くなまえはどこまでドジやらかせば気が済むんだ…」
「へへ、ちゃんと前見てたつもりなんだけどね」
「気をつけるのだぞ、女の子が顔にこんな傷つくるのはよくないからな…」
*
「東堂てめェまさか気付いてないってことねェだろうなァ」
「なにがだ」
「なまえチャン、最近怪我してる理由だヨ」
「あぁ、全く困ったものだ、女の子が顔に怪我など…」
「てめェそれ本気で言ってンのか、なまえチャン嫌がらせされてんだヨ」
「それはまことか…?」
「俺も最近見たけどヨ」
「な…んだと!?」
「ウッセーな、お前のファンのせいだろォ」
*
「もう耐えらんないよ、私ら」
それだけ言うとゴミ箱のごみをすべてかけられる。笑い声だけ良く響く。
「私は何されても東堂君から離れたくないよ」
「東堂君と仲いい人の妹だから?調子ノッてんじゃねーよ」
「あなたたちみたいに弱くないもん」
集団を成して一人を笑う。ここまでかっこ悪い人にはなりたくない。私は集団を成さないと行動できない人にはならない。
「前は荒北君に助けられてさ、いい気になってんじゃねーよ」
「何をしているのだ」
「っ!?」
重く低い声が聞こえた。
振り向けばそこには東堂君がいて、凄く怒っているように見える。
「と、東堂君、!?ち、違うの!私がゴミ箱倒しちゃって被ってたところ助けてもらっ」
「なんで嘘をつく!その頬の怪我もそうだろう!」
「と、東堂君、私たちはなまえちゃんを助けようとして…!」
「嘘つくのはならんよ…」
半分目に涙を溜めたまま怒鳴る東堂君に圧され、私を取り囲む人たちは足早に逃げていく。
気がつけば私は東堂君の腕の中にいた。
「と、東堂君!私ごみで臭いから離れてっ」
「すまん…なまえ。気付けなかった。本当にすまなかった…」
「…東堂君、私今凄く嬉しかった、助けに来てくれて。本当は一番最初に言うべきこと忘れてた。ありがとう。」
「なまえ、これからは言ってくれないと怒るぞ」
「うん、ごめんなさいでも私、」
誰になんて言われようと東堂君が好きだよ。
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