H×H 連載夢

□何かが始まる五分前
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「それでね、……聞いてる?××ちゃん」



「うん」

−今、読書中なんだけど。



「じゃあ、こっち向いてよ」


「う〜ん」

−本読みたいのに。



「××ちゃん、つめた〜い!わたし傷つくわ」


「ごめんごめん、なあに?」

ついに私は本を閉じて彼女に向き直る。


昼間、とある女子グループに絡まれて伸びてしまった制服の袖とか、

助けを求めた私から離れていった友達に対する苛立ちとか、

目の前の彼女がわざと私が断りにくい方法で読書の邪魔をしてくることとか、

そんな彼女の企みで、彼女以外の友達が、もうすぐ一人も、


「××ちゃん、最近ちょっと冷たすぎない?」






「気のせいだよ」



笑ってごまかして、なかったことにしなければ。

何の取り柄もない、何の役にも立たない、無力で滑稽で惨めな私は、ただ笑って笑って笑って笑うしかないのだ。

「話の続き、聞かせてよ」



−ほらね、


 大丈夫。


 まだ、笑えるよ?

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