H×H 連載夢
□第三章
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「みなさんお疲れ様です。無事湿原をぬけました。ここ、ビスカ森林公園が二次試験会場となります」
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「どうやら間に合ったようだな」
クラピカとゴンとユラは、うなり声のような不思議な音に迎えられた。
受験生達の何人かはユラのトランプが突き刺さったその姿を見てざわめく。
次の瞬間ぞく、とゴンが敏感にヒソカの視線を察知した。
ヒソカの指差す方を見れば、木にもたれかけるように座らされたレオリオの姿。
「レオリオ!!」
クラピカはレオリオの顔を一目見て、
「うむ、腕のキズ以外は無事のようだな」
きっぱりと言った。
「てめ…よく顔を見ろ、顔を」
そこへユラをおぶったゴンが追いつく。
「いつから気がついてたの?」
「ああ、ついさっきな……ってオイ!大丈夫かユラ!?ひでぇキズだぜ!!」
「そうだ、レオリオ、お前は医者志望なのだろう?手当てしてやってくれ!」
クラピカの言葉に、レオリオはゴンから鞄を受け取り、すぐに手当てを始める。
ちなみに、いつの間にかユラはトランプを抜き取っていた。
「しかし、ユラといいオレといい、なんでこんなケガしてんだ?どーも湿原に入った後の記憶がはっきりしなくてよ」
「……言わないほうがいいな」
「うん」
クラピカとゴンはこっそりと言った。
「よしッと。包帯はこまめに取り替えなきゃな。あ、キズが熱もったりしたらすぐ言うんだぞ」
『ん』
レオリオに手当てされた肩をさすりつつ、ユラは立ち上がる。
『ありがと、ドクター』
よせやい、とレオリオは照れた。
「香水のニオイをたどったーーーー!?」
すっとんきょうな声をあげたのはキルアだ。
ゴンを上から下まで眺め、
「お前、やっぱ相当変わってんなー」
犬だろホントは、などと言っている。
ふと、キルアとユラの目が合った。
やあ、と片手を上げたユラに呆れたように見て、フンと鼻を鳴らす。
「ったく、自信満々で引き返したくせに、結局大けがしてんじゃねーか」
『僕、自信満々だったかなぁ』
「ユラはオレを助けてくれてんだよ」
ありがと!とゴンが無邪気に笑う。
いえいえ、とユラは笑い、ウエストポーチからジュースを取り出して飲み始めた。
そのジュースは言わずもがな、トンパが配ったあのジュースだ。
キルアは、今度はユラを上から下まで眺めた。
「……お前さー、強いの?」
『なんだい、唐突に』
「……いいから答えろよ」
『じゃあ、強くないけど。なんで』
キルアが口を開く前に、ゴンが慌てて叫んだ。
「ああ!ダメだよユラ、そのジュース古くなってるよ」
『へ?』
「古いんじゃない。毒入りなんだよそのジュース」
キルアの言葉に2人は目を丸くした。
−あーあ、今度こそ終わったな。
キルアは心の中で呟いた。さすがに、二本目もアタリとはいかないだろう、と。
『だから、毒なんて入ってないって』
しかし、きょとんとするユラはさらりと言う。
『入ってるのは、ただの下剤だよ?』