H×H 連載夢
□第四章
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「ここはトリックタワーと呼ばれる塔のてっぺんです。ここが三次試験のスタート地点になります」
飛行船が着陸したのは、一見何もない塔の頂上だった。
「生きて下まで降りてくること。制限時間は72時間」
こうして、三次試験が始まった。
キルアは離れた所に突っ立っているユラを見つけると、駆け寄った。
「はい、昨日言ってたやつ」
「うん?」
差し出したのはミネラルウォーター。
「ありがとう……?」
「い、言っとくけど礼とかじゃないからなっ。オレと半分ずつだからなっ」
「うん」
ニッコリ笑ったユラに、キルアは顔を赤くしてそっぽを向く。
「お前、人前だとホント性格変わるのな。なんか、」
「キルアー!ユラー!見て見てー!すごいよー!!」
「と、とにかく、昨日のことは誰にも言うなよ」
ゴンに呼ばれて行ってみると、壁をつたって1人の男がタワーを降りていた。
彼はロッククライマーらしい。
「うわすげ〜」
「もうあんなに降りてる」
しかし、感心したのも束の間、怪鳥に狙い撃ちされ、男は喰われてしまった。
「どうすればいいんだろうね」
「さあな。ユラはどう思っ……って居ねぇ!!」
キルアのその声に、ゴンはまたァ!?と叫んだ。
*****
ユラは薄暗い部屋に居た。
というよりも、たった今隠し扉から落ちてきたところだった。
それを監視カメラ越しに見ていた三次試験官−リッポーはアナウンスを入れる。
『此処は孤独の道。つまり1人で進まなければならない。』
では、複数で進む道もあるのかという質問は、予想に反して聞かれなかった。
『その台の上に置いてあるタイマーをつけ、手前の扉から入れ。では健闘を祈る』
返事は、ない。
録音だと思われているのかもしれない。
ユラは時計をつけるとすぐに歩き出す。
躊躇う様子は一切なかった。
「しかし、とことん弱そうなガキだな」
リッポーは呟き、ただまっすぐ歩くだけのユラを無意識に目で追うこと数分後。
「なんだ、コイツ…」
キッカケは隣に控えていた1人の囚人の、小さな驚きの声だった。