H×H 連載夢
□第五章
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「ゴンは何番引いた?」
「キルアは?」
「内緒」
「「…………」」
しばし見つめ合い、
2人揃って表情を緩めた。
「安心しろよ。オレのターゲットはゴンじゃない」
「オレもキルアじゃないよ」
せーので見せ合いっこするか、というキルアの提案で札を見せれば、案の定キルアは驚いた顔をした。
「…………マジ?お前クジ運ねーな」
「やっぱり?」
ゴンのターゲットは44番−ヒソカだ。
これから向かうゼビル島では、受験者同士の狩りが行われる。
クジで”狩る者“と“狩られる者”を決め、自分自身のプレートとクジで引いた札に示されたターゲットのプレートがそれぞれ3点分、それ以外のプレートは1点分。
制限時間内に6点分のプレートを集め、守り通したら合格というルールだ。
ヒソカのことを思い出すと身体が震える。
しかしキルアに指摘された通り、コレは恐怖によるものだけではない。
−殺し合いならともかく、プレートを奪うだけなら、きっと何か方法がある。
ゴンは本気でそう思っている。
目の前に広がる青というより緑にも近いような不思議な色の海を見ながら、ゴンは何気なく言った。
「なんか……ユラの目みたい」
「え?何が?」
「この海の色だよ」
「は?」
「綺麗じゃん!」
「……お前、何言ってんだ?」
不審そうな表情でキルアは言った。
「アイツの目って、紫色だろ?」
*****
風に飛ばされないよう、帽子を押さえながらユラ海を見ていた。
前髪に隠れて目元はよく見えず、その口元は珍しく笑っていない。
「「ユラー!!」」
しかし、ゴンとキルアが駆け寄って来たときには、ユラの表情はすっかりいつもの笑顔になっていた。
『んー?どしたの?』
「あのね、目見せて!」
『メ?目玉?僕の?いいよー』
ゴンの唐突な言葉にもあまり驚くこと無く、素直に頷く。
じーっとゴンはその目を覗き込み、
「ホントだ、紫色だ!あれー?」
「あれー?じゃねえよ、やっぱりお前の勘違いじゃん」
『おにょっ』
キルアも同じようにユラの顔を覗き込み、ついでにむにーっと彼女の頬をつまんで言う。
「うーん」
−トリックタワーで抱きついたときは、確かにこの海みたいな色だったと思ったのになー。
いまだ納得いかなそうなゴンと呆れ顔のキルアを、ユラはただ笑顔で眺めるばかりだ。
そんなユラを少し離れたところからクラピカが見ていた。
「ユラ」
ゴンとキルアが去った後、すかさずクラピカは声をかけた。