H×H 連載夢
□第六章
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「うーむ、なるほど。思ったよりかたよったのォ」
ネテロはニヤリと人の悪い笑みを浮かべた。
「まさか、受験生全員がお主の名前を出すとはのう」
406番−と筆で書き終え、ホッホッホとネテロはひとり笑った。
*****
「最終試験は1対1のトーナメント形式で行う」
最終試験会場に集められた受験生は皆、緊張しながらネテロの説明を聞いている。
キルアは試験の成績のいいものが戦うチャンスが多いとわかると、自分の位置に不満を持ったようだ。
浮かない顔をしている。
一方ユラは自分の位置を確かめるやいなや、笑顔でネテロを凝視していた。
ユラが戦うのは、第一試合のゴンかハンゾーのどちらか負けた方だった。
「第一試合!ハンゾー対ゴン!!」
こうして最終試験が始まった。
*****
「3時間……」
「もう血反吐も出なくなってるぞ」
床に横たわるゴンを、皆が痛々しそうな表情で見る。
「てめェ!いい加減にしやがれ!!オレが相手になってやる!!」
ついにレオリオが怒鳴った。
しかし、試合に乱入すれば、失格になるのはゴンなのだ。
「見てられねーなら出てろよ。これからもっとひどくなるぜ」
ハンゾーはそう言って、視線をすぐ隣の−ユラに向けた。
開始から今までその笑顔は固定されたまま、眉1つ動かさず目線をそらすこともなく静かに試合を見ている。
ハンゾーの視線に気がついたのか、他の受験生達もユラを見て未知の深海生物にでも会ったような顔をする。
そんな中、キルアだけが何かに気がついて表情を変えたとき、
「だ、大丈夫、だよ……レオリオ…」
ゴンが立ち上がった。
「こんな、の全然、へいき、さ…」
ハンゾーはゴンを蹴倒すと左腕を背中に固定した。
「腕を折る」
その言葉に会場の空気が極限まで凍りついた。
「本気だぜ。言っちまえ!」
「い、いやだーーーーー!!」
ボキッ!!
ゴンの骨の折れる音が響き渡った。
「!!………ッ」
「さぁこれで左腕は使い物にならねぇ」
悶絶するゴンを見て、レオリオがギリギリと歯軋りをする。
「…クラピカ、止めるなよ…あの野郎がこれ以上何かしやがったら……ゴンにゃ悪いが、押さえ切れねェ……!!」
対するクラピカは、
「……止める?私がか?」
瞳が燃えるような赤へと変わっていく。
「大丈夫だ。おそらくそれはない……!!」
今にも飛び出して行きそうな2人を止めたのは、
『ダメだよー2人共』
場にそぐわない朗らかな声。
ユラは先程とまったく変わらない笑顔でレオリオとクラピカの前に立ちふさがった。
「なっ……」
「お前……」
信じられないと言うように2人は目を見開く。
『これはゴンの試合だよ?ゴンが1人でやらなきゃ意味がない。それを君達が邪魔しちゃあ、』
「ッてめェ!!」
すさまじい形相をしたレオリオがユラの襟首を掴んだ。
「試合見てて何にも思わねーのか!ゴンが傷ついてるのを仲間が見殺しにしろってのか!?」
『べつに見殺しにするわけじゃ』
「顔色1つ変えやしねーでヘラヘラ笑いやがって!よくわかったよ、お前がロクデナシってことがな!!」
そのままユラは突き飛ばされ、後ろの壁にぶつかった。
ガンッと結構大きな音がして、レオリオは少し我に返った。
「……やりすぎだよレオリオ」
クラピカに言われてレオリオは気まずそうに顔を逸らす。
「やりすぎだが……私も同じ気持ちだ」
クラピカの赤い目をまっすぐに受け止め、ユラはそっか、とやはり笑顔のまま頷いた。
とりあえず区切りはついたらしいと、溜め息を1つ付いてハンゾーはゴンに向き直る。
「痛みでそれどころじゃねぇだろうが、聞きな」
ここから、ハンゾーの長い話が始まる。