H×H 連載夢

□第七章
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キルアを取り戻すため、飛行船で3日間





−その一日目の夜のこと。


「さてと。……ユラ、どこへ行く」

『アハハ……ちょっとトイレに』

「三分前に行ったばかりだが?お腹を壊しているわけでもあるまい」

クラピカの指摘にごまかし笑いを浮かべたユラの腰に、

「ユラ、逃がさないからね!」

ゴンの腕が巻きつく。

まあまあ、と宥めたのはレオリオだ。

「今日のところは勘弁してやろうぜ。ユラは試験官として仕事してたんだから、疲れてんだろ」

『……う』

逆に気を使われて決まりが悪くなったのだろう。

腕の力は緩めたものの相変わらずひっついたままのゴンにお手上げのポーズをした。


『わかった、ウチのこと話せばいいんやな?』

「あー、ちょっと確認してぇことがあるんだが」

レオリオが挙手して言う。


「お前、試験中に錯乱……ってゆうか、混乱?してたっていうのか?性格変わってたよな、ときどき」

『…ハイ』

「アレはなんだ、その……病気か?」


「目の色も変わってたよね」

というゴンの言葉にピクリとクラピカが反応する。

『えーと、まずレオリオ。そんな心配そうな顔せんといて。そんな深刻な話じゃないから…まあ、病気と言えば病気なんかもしれへんのやけど』

「…というと?」

クラピカに促され、ユラは意を決したように顔を上げた。




『ウチ、多重人格やの』





『…………って、意味わかる?』

目を点にしてしまったゴンにユラは苦笑い。


「ひとりの人間の中にそれぞれ独立して出現する異なる複数の人格が存在するという…アレか」

スラスラと辞書そのままを暗唱するように答えたのはクラピカだ。

ただ、イマイチピンとこないため、複雑な表情になる。

1人納得したように頷くのはレオリオだった。

「なるほどな、人格障害か。それなら、いろいろ納得がいく」

「例えば?」

と、クラピカ。

「そうだな……ただネコ被ってるだけだってんならまあ、一人称が変わるのはまあ、わかるんだ」

『僕、とかオレ、とか?』

「今のウチ、ってのもだぞ」

でもな、とレオリオは続ける。

「しぐさとか言葉のなまりっていうのは、習慣として身についてるものでそうそう簡単に切り離せるもんじゃねぇ。わかりやすいのは、なまりだな。ユラは、あの講習で復活するまで、言葉は全然普通だっただろう?……多少乱暴になったことはあったけどよ。だから、もしかしたら…とは思ってたんだ」


『さすがレオリオ、医者志望』

「オレも実際会ったのは初めてだがな」

置いてきぼりにされたゴンが「どういうこと?ねーえ!」と不満そうに声を上げる。

『うーん、説明、はもうクラピカがしてくれたし。どう言うたらええんやろ…………………………………………んなモン実演すりゃいいだろうが』





「「「!?」」」



『よお』

そう言って手を上げたユラの目は、瞬きした一瞬の間に赤色に染まっていた。


『あーうぜー。とりあえず自己紹介な。オレの名前は、クレナイってんだ』
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