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□平成のS.Hとの邂逅
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ここはどこ、私は誰。
いや、自分の名前は分かる。
ユラ=フリークスだ。
本名はもっと長いが、それはとりあえず良いとして、
「………どこだろ、ココ」
路地裏、いや、ビルとビルの隙間。
ゴミゴミとした地面の上に寝そべっている自分。
……まずは、状況を整理しよう。
ごろん、と異様に重く感じる体を壁際に転がし、深呼吸。
ええと?
まずは耳を済ませて精神統一、
すると、自分の中にいる彼らの気配が感じられる。
紅【クレナイ】
碧【ミドリ】
紫【ムラサキ】
琥珀【コハク】
葵【アオイ】
よし、全員いる。
ただし、皆疲れているのがわかる。
当然だろう、キメラアントの討伐で”全員参加“したのだから。
ボロボロになった体を引きずるようにしてジンに会いに行って、
そうだ。
あたしは、死ぬはずだった。
「………はは、また死に損なったのか」
今何時だ?
腕時計を見ようとして、妙に自分の身体が熱をもっているのに気が付いた。
ゆっくりと起き上がって、そばにあった水溜まりを見下ろした。
そこに映った己の姿は−
「おいおい……マジかよ」
全身火傷でまだら模様になった裸体を見て、思わず天を仰いだ時。
「よーやくお目覚めかい?オヒメサマ」
聞き慣れた皮肉な声に、あたしは目を見開いた。