S.K 連載夢

□第零章
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転生して、
新しい家庭で弾かれ、捨てられて。

森の中で出会った少年と知り合ったら、ある日その少年に何故か刺されました。


だなんて。



「カスみたい、な、ゲホッ!」


−カスみたいな人生。

そう言おうとしてむせた。
むせる度に、いま私が寝かされている布団に鮮血が飛び散る。
喋りにくい。息が苦しい。


っていうか、メッタ刺しにされた腹に響く。



なんか、そんな私の周りでは医者だかこの家の人間だかが奔走してるみたいだけど、

ぶっちゃけうるさい以外の何者でもないし、別に生かそうとしなくていいから早くトドメをさしてもらってかまわないんだけど。

これ以上、苦しいのはゴメンだ。

だから、とっとと死なせてくれ。




気が遠くなるような痛みに呻きながら、私は意識を失った。









はずだった。







『まったく、人間とはか弱いものですね』


そんな言葉と共にずるりと身体が引っ張り出されるような感触がして。


気がつくと、真っ白な空間で、真っ白な狐と向かい合っていた。


なんだか神々しい光の粒子のようなものを身に纏っていて、ただの狐でないと誇示せんばかりに赤い目2つと金色の目が額に1つ。


『……何か言うことはないのですか』

「はあ、まったく、カスみたいな人生でした」

『それはもう聞きました』

「……そう」


狐のような生き物はスッと目を細めた。


『あまり驚かないのですね。此処に来た人間はまず驚いて、それから元の世界に帰せと泣くか喚くか懇願するものですが』

「へえ…此処ってもしかしてあの世?」

『いえ。此処はちょうど境目です』

「ああ、そう。じゃ、とっととあの世へ連れてって下さいな」


私の言葉に狐もどきは、今度は目を見開いた。


『死ぬのが怖くないのですか』

「全然。死ぬまでに痛い思いをするのはイヤだけど」


ほう、と狐は楽しげに中に浮いた。

その時、初めて私は狐が青い布を首に巻いていることに気がついた。


「ねえ、君さ。私とあの子がよく遊んでた、小さなお堂の”お狐様“?」

『その通り。察しのよい娘ですね』

「……何しにきたの?いつも、お堂を留守にして、あの子の前には一度も現れなかったのに」

っていうか、何で“見えて”るんだ私。


−ああ、死んだからか。


『まだ死んでませんよ』

まるで心を読んだかのようなタイミングで狐はそう言って笑った。


『だって、これから私が助けるのですから。ま、ただの気まぐれですがね』

「いい」

『は?』

「別にこのまま死んでいいから」

『……本気で言ってます?』

「うん。別に生きててもあんまり楽しくないし、どうせまたカスみたいな人生になるだけだしねー」

『…驚いた。なんて勿体無い』

うるせーよ。


妙に人間くさいリアクションをする狐だな。
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