S.K 連載夢

□第一章
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『……オウ、……きて、…』

「……ん」



『魅桜!いい加減起きなさい!』

「……ふぇ…?ぐえ!」


ドスッとお腹に何か落ちてきた。

じわじわと来るこの痛み。



見れば、布団の上で白い狐がふんぞり返っている。

『見なさい、これを!』

「ああ〜時計だ…」

『ええ、そうですとも!もっとよく見なさい!』

「……よく見るぅ?……この時計の針、ちょっと曲がってるよね…おまけに傷だらけだし」

『そりゃゴミ山で拾ってきたんだから多少の……ってそうじゃなーい!時刻を見なさい、時刻を!!』

「8時だねー」






……8時?



「ああ、今日から学校か。いっけね」

『なんでそんなリアクション薄いんですかぁぁぁああ!?』

危機感を持ちなさぁぁああい!

と怒鳴るコンちゃんの声にせかされて、ユルユル支度を始める。


いやーだって急げっつってもさあ、
どのみち遅れるんだから、焦ってもしかたないじゃん?



*****



ブラウスは上から数えて3つまでボタンを開けて。

ブカブカの袖は、肘まで捲って。

ズボンの裾も、もちろん折り曲げて下駄をつっかけて、


うん、完璧!



『制カバン!!』

「お、サンキュー」


少し低い声でしゃべってみる。


「これで、俺も男子中学生デビューだな!」

『でびゅーってなんです。そもそも、なんで男装する必要が…』

「いやー王道じゃん?」

『何のです!?っていうか、何のんきに鏡の前でポーズ決めてるんですか!あなたも少しは”焦る“ってことを覚えなさい!!』


朝からコンちゃんのツッコミは冴え渡っている。

それこそ昨日、ふんばりが丘で叫んでいた小山田まん太並みに。



今俺たちが身を寄せているここは、ふんばりが丘の上の西岸寺だ。

といっても、崩れないのが不思議なくらい建物は古くて、霊がいないどころか人っ子ひとり見当たらず、管理者がわからないことをいいことに勝手に使わせてもらうことにした。

ま、外の墓場にはそれこそわんさか霊がいるんだけどさ。
(ちなみに、木刀の竜のグループも、昨日バッチリ目撃した)



ガスは通っていないが水は出るし、意外にも中は綺麗だったし。

あ、風呂どうするかな。



「ま、なんとかするさ」



長い階段を降りて、錆びた柵の所で振り返ってコンちゃんに手を振る。


学校には、なるべく持霊は連れて行かないと、
昨日話し合って決めた。

葉明がどういうつもりでこの俺を葉に近づけたがるのかわからない以上、
葉にどこまでバレていいのかわかんねえんだよ。


ま、深く考えたって仕方ない。





「いざシャーマンキング第1話ヘ!」
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