H×H 連載夢

□第五章
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にこにこしながら言葉を待つユラに、クラピカは単刀直入に切り出した。




「君は何が楽しくて、いつもそんなに笑っているんだ?」




こんな聞き方では気を悪くする人もいるかもしれない。

が、彼女は怒らない。

二次試験で突き落とされた時も、三次試験でレオリオに突っかかられたときも、


そして、今も。


クラピカの予想通り、ユラはきょとんとするだけで、怒りはしない。決して。

……怒りはしないが、


『……………』

「……その」


いつまでも黙っていられるのも、それはそれで困る。

「ユラは、常に落ち着いているから…」

ふむ、とユラは一つ頷くと、にっこり笑った。

『ごめんごめん。ちょっとびっくりしちゃって』

「びっくり?」

『うん。君、そもそも前提からして間違ってるから』

ガラス玉のようにどこまでも透明な瞳がクラピカをまっすぐに捉えた。



『僕はね』


『楽しくないから笑うんだ』




*****



さく、さく、とその足音が目の前に来るのと同時にギタラクル−イルミは茂みの中から針を放った。

「わっ」

ドスンという鈍い音が聞こえたが、針は刺さらず掠り傷はず。

一応、牽制のつもりだったから。


「やあ」

無様にひっくり返ったユラが口を開く前に、

「随分、キルと親しくしているようだね」

針を突きつける。

「キルと友達じゃないんだよね。知ってると思うけど、何度でも言うよ。キルは殺し屋だ。熱を持たない闇人形だ」


「友達なんて、必要ない。つくる資格もない」

イルミがしゃべっている間、ユラはただ、イルミの目を見つめていた。

突きつけられた針に怯む様子もなく、逆にイルミが戸惑ってしまう。


「なにか言うことないの」

『あ、じゃあ一つだけいい?』

「何?」



『友達の資格がないのはキルアじゃなくて僕の方だよ』



立ち上がってパンパンとお尻を叩く。

そこで初めて、イルミは自分が針を下ろしていることに気づく。


『だから、キルアと友達になれないのは、キルアのせいじゃない。僕は、誰とも友達にはなれない』

「……他の3人とも?」

『もちろん』


それじゃあ、と背を向けたユラに向かって、イルミは下ろしていた針を放った。

針はその首筋を掠めたが、ユラが振り返ることはなかった。

すっかり彼女の姿が見えなくなった後、


「イルミが外すなんてめずらしいね◆」

「……ヒソカ」

最初から見ていたのだろう、奇術師はクスクスと楽しそうに嗤う。

「あの子、変」

「彼女も、君にはあまり言われたくないと思うけど◇」

「ヒソカ、彼女が女だって気づいてたんだね」

「当然★彼女は僕の果実だからね◆」


それからねぇ、とヒソカは至極面白そうに告げた。



「彼女はおそらく誰よりも、深い闇のなかにいる◆」
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