S.K 連載夢
□第一章
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「ここここいつだあーっ!」
どいつだー!ってここから叫び返したらどうなるかな。
教室に向かいながら、そんなことを考えてみる。
いやしないけどさ。
「幽霊なんているわけないだろ。
っていうか、お前誰?」
……約七年振りの葉の声だ。
だから、なにということもないけれど。
ばっさり切り捨てるよねー。
どうでもいいけど。
他人として再会する。
それだけだ。
ただ、それだけ。
タイミングを見計らって、
ガラガラと。
「すいませーん。遅れましたー」
約七年振りに、
私達の視線が絡みあった。
*****
そいつは、確かに昨日墓地で幽霊と戯れていたんだ。
ぼくは嘘なんてついてないし、憑かれているわけでもない。
なのに−!!
教室中でぼくを笑う声が響いていたその時、
ガラガラ…
「すいませーん。遅れましたー」
窓が開いた。
え、窓?
…………………窓!?
まず、下駄が放り込まれ、続いて本体が飛び込んでくる。
それは、
銀色の髪に、
灰色の瞳、
透き通るような白い肌の少年だった。
凍りついた教室の空気をものともせず、その少年は穏やかな……というよりは緩んだ笑みを浮かべながら、
「あのー、1年C組に行くにはどうしたらいいっスかね?」
柔らかいアルトの声に、
思わずぼくは答えていた。
「ここがその1年C組だけど…」
「あ、マジ?」
「っていうか君どこから「どこから入ってきたんだお前は!?」
ぼくの声は担任の声でかき消された。
「あー、見ての通り窓からっス」
「どうやって!?」
「えっと木に登って、飛び移りました。どこに何があんのかわかんないし、とりあえずこの教室が賑やかそうだったんで侵入してみましたー」
してみましたーって。
シンとした空気を切り裂くように、
「アホかぁぁああああー!!」
担任の雷が落ちた。