イナGO短編集

□雨降って地…
1ページ/2ページ

「剣城の三流シード!」

放課後、天馬の怒鳴り声が聞こえたので教室に立ち寄ってみた。

「ふざけるな!!赤点常習犯が!!」

うわっ、剣城まで…。

これって仲介とかした方がいいのかな?

でも、声かけづらい雰囲気漂ってるし…。

「赤点で結構、コケコッコ〜だ!!どうせ俺は、剣城みたいな天才じゃありませんから。」

そういえば剣城、この前のテスト全教科トップ10入りだったっけ?

もう見ちゃいられない。声かけてみるか。

「天馬、どうしたの?」

と聞くと、天馬は泣きながら答える。

「どうもこうも、剣城が練習させてくれないから。」

次に剣城が喋り出す。

「だから、お前が前回のテストで赤点4教科も取るからこうなるんだろ?」

剣城かなり怒ってる。

天馬、よくこの状態の剣城に向かって三流シードとか言えたね…。

「いいもん、俺はサッカーさえあれば何とかなるんだ!!」

「何ともならねーから言ってるんだよ。」

もはや、僕が口を挟むことすらできない…。

「天馬、ちなみに言うが…。」

間を開けてから剣城が再び喋り出す。

「お前、サッカーやりたいって言ってもやる場所ないぜ。」

「どうして?」


「神童先輩が俺に『テストが終わるまで天馬にサッカーさせないでくれ。それから、お前が天馬に勉強を教えろ。今度こそアイツの赤点を阻止する。』って言ってきた。」

それを聞いた天馬はショックを隠し切れないといった表情をしていた。

「まさか…。神童先輩が…。そんな…」

「分かったならさっさと勉強しろ!! テスト後に思う存分サッカーができるようにな。」

「はーい。」

天馬は少しがっかりしながらもやっと勉強を始めたみたい。

剣城の怒りもおさまったし(?)一件落着?!

ところで僕の存在価値って……。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ