The prime

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冬の布団は冷たい。
エアコンもヒーターも無い遙の部屋の布団は特に、だ。

「遙ー湯たんぽ用意しないと今日こそ眠れないってー。」

「俺はいらない。」

「俺はいる。」

お前が欲しがっているのだから自分で用意しろとでも言うように、遙はメンドクサイと言った。そんな会話を、俺たちはぬくぬくと炬燵に入りながらしている。
遙の家に泊まり始めて、クリスマスからだから…もう3日目になる。25日は真琴もいたのだけれど家の掃除を手伝わないとと帰ってしまった。良い子である。
俺は自分の部屋の掃除を早々に済ませた。

机に顎を着く遙の頬に手を添える。

「んー温まってるみたいだしいいかな。」

「俺を湯たんぽにするな。」

見ていたテレビ番組も終わり、俺たちはそろそろと遙の自室へ向かう。遙の背中にぴっとりくっついて寒い寒いと言いながら。靴下を履いていなかった俺のばかと今日も今日とて思いながら。

一式の布団に2人で潜り込む。
やらしいことは今日もしないらしい。すぐに眠る体勢になった遙を見て思う。
遙は気分屋だ。毎日のように求めてくることもあれば、今のように2週間何もしない時もある。正直、俺はキツイ。4日に1回は抜いておきたいです。
遙がいなければ、頭の中で好き勝手に遙を動かして、喘がせて自慰ができるのだけれど…目の前に本物がいるのに1人寂しくする気にはなれない。

暖を求めて遙に近づきながら、これからの性事情について考えた。
今のところ、俺たちは触りあい程度までしか進んでいない。フェラでさえもしたことがないのだ。まさかしてくださいとも頼めないし、したいと言う勇気もなく今に至る。
このままだときっと遙に飽きがきてしまう。というかもうきているかもしれない。
捨てられるということと嫌われるということに前も後ろも行き止まり。

遙が、俺のことを好きになってくれたならこんなに悩まずにすむのにと、なんとも自分勝手なことを考える。今までの長い月日と気持ちを伝えこの微妙な関係になってからの月日を掛けても駄目だったのだ。そんなことは今後もきっとくることなどないのだろう。ならば、終わりはいつだろうか。

「遙、もう寝た?」

「寝た」

「抱きついてもいい?」

「…」

俺に背を向けた遙の身体と敷布団の間に手を突っ込んで遙を手繰り寄せる。
遙の温もり遙の匂い

薄暗い部屋の中で、襟足から覗く首

「キスしてもいい?」

「…好きにしろ」

遙の横腹に跨ってキスをした。
遙は拒まない。キスが好きなんだと思う。多分。

先に進んでもいい?
恋人になってもいい?


自惚れてもいい?





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