Midnight Snow

□三白眼
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『………………』
「………………」

『………………』
「……一体何よルキ、さっきから。アタシの顔に何かついてる?」



さっきから物凄い剣幕でアタシを見てくる目の前の少女。

彼女は共にあの変な美術館を脱出し、以来ずっとお付き合いしているアタシの恋人、ルキ。


そんな彼女が今回のデートの最中、突然アタシの顔をじっと見つめ始めてきたのだ。


しばらくその状態が続いたが、彼女の突き刺さる視線に耐えきれなくなり、アタシは問い詰めることにした。



『…ギャリーのさ』
「?」


『ギャリーの眼って…

ちょっと、変わってるよね』
「………は?」



真剣な顔でいきなり何を言い出すのかと思えば…



『確か、ギャリーみたいな人の眼って、"三白眼"っていうんだよね?』
「…そうだけど、それがどうかした?」
『うーん、別に深い意味はないんだけど…

三白眼ってさ、よく悪い人がそんな眼をしてるよね』
「………………」
『たまに思うんだけどさ、なんで悪い人ばっかりそんな眼をするんだろうね?

あ、もしかしてわざとそうゆう風にしてるのかな?


あ!ってことはギャリーも?』
「…別にアタシは作ってないわよ?この眼は元々生まれつきよ。


っていうか普通、眼は自分で作れないわよ。どこ探せばいるのよそんな奴」
『…あーそうだよね…』



…ってちょっと。なんでそんながっかりしてんのよ。
アタシは別に好きでこんな眼をしてるわけじゃないのよ?


っていうかアンタ、アタシをそんな風に見てたわけ!?


「言っとくけどアタシは断じて悪人じゃないからね!
別にアタシは犯罪犯すようなマネはしないわよ!」
『わ、わかってるよ!ギャリーはそんなことしないって信じてるもん!

ただ、ね…』
「…?」



『ギャリーはその眼で悪い人に見間違われたりしてないかな…って。


もしそうだったら…ギャリー可哀想』


と、シュンと俯くルキ。



もう…そんなに心配しなくてもいいのに…


「ルキはアタシの事、悪い奴に見える?」
『…全然見えない。むしろ絶世のイケメンに見える』

「なら大丈夫よ。ルキがそう見えてるなら、誰もアタシを悪い奴に見えたりしないわよ」
『…本当?』
「ええ、だからルキはそんな心配しなくてもいいわよ。ね?」
『…うんっ!』


ルキはぱあっと明るい表情をし、アタシは暖かい眼で彼女の頭を撫でた。


すると彼女は、再びアタシの眼を見ると、ほっこりと笑った。


「今度は何よ?」
『ふふっギャリーに見つめられながら頭撫でて貰うの好きだから!』
「………っ…」


ちょっ…その可愛さでそのセリフは反則だろ…!!


あーくそ、今ので理性80%くらい飛んだよ…


もうこのままこの場で抱き締めてキスしてやりたい!!



しかし、そんなことも知らずにルキはさっさと先に行ってしまった。


「(理性吹き飛ばしておいて"放置"とか生殺しだろ…)」



こうなったら家に帰ったら俺をこんなにしたことを後悔させてやる!






end
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