真実を映す鏡4

□元気を出して
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「それじゃ、始めましょうか」

浦原さんの言葉で一気に緊張感が高まる。

「それから神崎サン、修行しているのに別のことを考えているのは駄目っスよ」

「ぐっ!」

考えが読まれている気がする…。

私はブンブンと首を振って刀へと手を伸ばす。

刀は変わらずの透明だ。

私が刀を構えたのを見て、雨竜くんも弓を構えた。そして浦原さんも飄々と刀を抜いた。

「じゃ、手加減しませんよ」

「お願いします」

私は一気に浦原さんへ向かって刀を振り下ろす。雨竜くんも後方から私を支援してくれる。

だが浦原さんには届かない。

さすがっ。でも、私だって前より成長しているんだから―。



――――――



「今日はここまでにしましょう」

ゼェと私と雨竜くんの息が上がっている中、浦原さんは余裕綽々の表情で笑みを浮かべている。

「それで神崎サン。一時でも悩み事は消え去りましたか」

「あ…」

確かに。修行している間は、母との電話のことも、死神代行のことも、そして滅却師のことも頭から消え去っていた。

「はい。浦原さん、ありがとうございました」

「いえ。明日からまたお店の方、お願いしますよ」

「はい!」


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